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心の声

いつも題を考えるのにかなり時間がかかってしまう私が、珍しくサクッと題を決めてしまいました。

以前から考えてたものにはまだ題がついていないというのに・・・・・

またしても告白ですが、それでもよろしければお付き合い下さいませ。




心の声




仕事を終えて社さんを送り、マンションまで戻って来て、ふといつもと違うものに気づいた。

マンションの前で膝を抱えて座り込んでいる人物が、愛しい少女だと気づいてぎょっとした。

女の子が深夜にこんなとこで膝を抱えて座り込んで何をやってるんだ!何かあったらどうするんだと怒りが込み上げてくる。

彼女にお説教しようと近づくと、様子がおかしいことに気づいた。

一体何があったんだ?

「最上さん?」

恐る恐る声をかけてみた。

彼女はゆっくりと顔を上げた。

明らかに泣きはらした目にうろたえてしまう。

「敦賀さん・・・・・・・・」

俺は彼女の目の前に立っているのに、彼女は目の前の俺を見ていないようだった。

「最上さん、何があった?」

もう一度呼びかけてみた。

しばらくボーっとしていた彼女は、何度か瞬きして、正気にかえったようだった。

「あれ?え?私、どうしてここに?」

ここに来るまでの記憶がないのか?

それほどに何かショックを受けることがあったのかと心配せずにいられない。

「車を駐車場に停めてくるからち、ちょっと待ってて」

そう言いおいて、路駐状態の車に乗り込み、駐車場に停めに行った。

急いで彼女の所に戻ると、また彼女はボーっとしていた。

「おまたせ。とりあえず入って?」

彼女を招きいれようとしたのに、彼女は動こうとしなかった。

「いえ、もう遅いですから。このまま帰ります」

そんな明らかに様子のおかしい君を、このまま帰せるわけがないだろ?

「そんな様子で帰ったら、だるまやのご夫婦も心配されるんじゃないの?」

いくら可愛がってもらっているといえ、彼女にしたら余計な心配させたくないと思ってる筈だ。こう言えば、彼女の足は止まるだろ事は予想がついた。

「お二人に心配かけないぐらい落ち着くまで家にいるといいよ」

そう彼女に告げると、ポロポロと泣き出してしまった。

ほんとに一体何があったんだ?

彼女が下宿先に帰りが遅くなると連絡を入れてないということだったので、社さんに頼んで連絡してもらった。彼女は自分で連絡すると言い張ったが、明らかに泣き声で電話すると心配されるよと言い諭した。

しばらくすると社さんから連絡が入り、遅くなるようだったらこのまま泊まっていいという許可を得たとのことだったので、社さんにお礼を言って電話を切った。

「だるまやさんの許可はもらってるから、このまま泊まってくれていいからね?」

そう言って、彼女をリビングに招きいれ、コーヒーを手渡した。

「ご迷惑かけてすみません」

彼女はポツリと謝った。

「気にしなくていいんだよ?何かあったらいつでも頼ってくれていいから」

優しく彼女に言い諭す。

誰であっても、彼女が頼ってくるポジションを譲るつもりはさらさらなかった。

「何があったのか話せない?」

彼女に何度目かの問いかけをした。

彼女は俺の問いに、ポツリポツリと話しだした。

「私・・・・・もう、どうしていいかわからなくて・・・・・気付いたら目の前に敦賀さんがいたんです・・・・・」

時々しゃくりあげながら彼女は話してくれた。

そんな状態でよく何事もなくここまで来れたものだと安堵せずにいられなかった。

全く、少しは名の売れた芸能人だという自覚があるんだろうか。心配する俺の身になって欲しい。

彼女は俺の気持ちは知らないはずだから、俺が心配してても気付きもしないんだろうけど、無意識のうちにここまで来たっていう事実が、少しは彼女の中で特別な存在になれてるんじゃないかと思うと嬉しくなる。

思わずにやけてしまいそうになり、慌てて顔を引き締めた。

彼女が人目も気にせず泣くほどのことがあったというのに、にやけてると変に誤解されかねない。

「また演技に躓いてるとか?」

彼女は首を横に振って否定した。

業界で、真面目で礼儀正しいと評判の彼女にあり得ないと思うけど、ふと頭に浮かんだことを聞いてみた。

「誰かにいじめられたとか?」

これも彼女は首を横に振って否定した。

「まさか・・・・・またストーカーに会ったとか?」

軽井沢で、彼女がビー・グールのレイノとかいう奴にストーカーされた記憶が蘇ってくる。

「今日は会ってません」

彼女は小さく呟いた。

軽井沢で『二度と彼女に近寄るな』と告げたのに、バレンタインでは彼女の弱みを握りチョコをくれと強請ってきたという。その話を後から聞いた時、どうして先に相談してくれなかったのかという怒りがわいてきて、自分を抑えるのに苦労したことも記憶に新しい。

「話してくれないとわからないよ?何があったの?」

「ショータローに会って・・・・・」

不破と聞くだけで、言い知れぬ嫉妬に身を焦がす。

自分が彼女を捨てたくせに、何かと彼女の周囲をチョロチョロして、傍で見てるとじゃれてるようにしか見えない彼女と不破の関係は、チラホラと噂になりつつあった。二人の間に甘い雰囲気が全く感じられないから、その噂も今のところ静かなものだった。

自分の思考に陥りそうになり、彼女に意識を戻した。

俺が不機嫌になるのがわかるせいか、彼女は今まで自分から不破とのアレコレを俺に話したことはなかった。それなのに、今日は自分から話そうとしている。余程のことがあったに違いない。

そんな彼女に、怒りを感じ取られて口をつぐませるわけにはいかなかった。

『平常心』と自分に言い聞かせる。

「ショータローが、いきなり『俺が悪かった』って謝ってきて・・・・・」

あの不破が自分の非を認めた?自分から謝りそうな性格には見えなかったけど、不破にも何か心境の変化があったんだろうか。

「好きだって言われて・・・・・戻って来いって・・・・・」

なんだと~!!!!!

つい、自分を抑えきれず、怒りに我を忘れてしまった。

しまったと思った時には、彼女は恐怖に顔を強張らせていた。

「それで?」

一度走り出した怒りという感情は、簡単には止まらない。

彼女はビクビクしながら答えた。

「それで・・・・・目の前が真っ暗になって・・・・・足元から地面が崩れ落ちたような感じがして・・・・・どうしていいか・・・・・わからなくなって・・・・・気がついたら、目の前に敦賀さんがいたんです」

それって、俺の都合のいいように解釈すると、君の中で不破より俺の方の存在が大きくなってるって聞こえるけど?

我ながら現金だと思うけど、自分の都合のいい解釈に、怒りもどこかへいってしまった。

「君の復讐は達せられたと思っていいんじゃないの?」

「そう・・・・・ですよね」

彼女の言葉に訝しく思う。もうちょっと喜ぶかと思ったのに。

「それで君はどうしたいの?」

今ここに君がいるってことは、不破のもとへ戻りたいって話ではないと思うけど、彼女が口ごもる理由がわからなかった。

「私・・・・・どこにも自分の居場所がなくなったような気がして・・・・・コーンに助けを求めたんです。いつもコーンは助けてくれるのに・・・・・今度は・・・・・コーンの魔法も効かなくて・・・・・きっと、私があんまり醜いから・・・・・呆れちゃって・・・・・コーンも助けてくれなくなったんだと・・・・・」

そう言うと彼女はボロボロと涙を流した。

君のコーンは目の前にいるんだけどね・・・・・。

泣きじゃくる彼女をそっと抱きしめた。

「君は醜くなんかないよ」

「本当の君は、素直で優しい子だよ」

優しく彼女の髪をなでながら、ゆっくりと言い聞かせた。

「君の居場所がなくなったりするわけがないよ。だるまやのご夫婦も、社長も、椹さんも、マリアちゃんも、琴南さんも、社さんも、俺も、みんなが君を心配しているよ?LMEが君の居場所で、だるまやさんが君の家だろ?」

「でも・・・・・でも・・・・・私ずっと敦賀さんみたいな俳優さんになりたくて・・・・・でも・・・・・私の復讐は終わってしまって・・・・・」

「君の演技は、復讐とは関係なかったはずだよ?君が俺にそう告げたの忘れたわけじゃないよね?だから何も今までとかわりはないよ?」

彼女の泣き声が「ふぇ~ん」と大きくなった。

「演技するの好きだろ?」

彼女はコクリと頷いた。

「最上キョーコを作るんだろ?最高で最強の一流俳優になりたいって言ってただろ?」

俺の言葉に、彼女は何度も頷いた。

「そこには不破は関係なかっただろ?だから今までと何もかわりはないよ。LMEが君の居場所だよ」

「敦賀さん・・・・・」

泣きながら小さく俺の名前を呼ぶと、彼女は俺に身体を預けてきた。

自分から彼女を抱きしめたくせに、そんな仕草にドキリと心臓がはねてしまった。

ねぇ、わかってる?俺、男なんだよ?そんなに無防備でいいの?

愛しくてたまらくなって、強く彼女を抱きしめたのに、抗う様子もなかった。

混乱してる彼女に追い打ちをかけるような事はいけないと思ってたのに、愛しくてたまらなくて、告げずにいられなかった。

「君が好きだよ。最上さん」

彼女は嫌がるそぶりも見せなかった。

「私・・・・・まだよくわからないんです」

今、君が俺を拒絶してないことだけでも、俺は嬉しいよ。

「でも・・・・・敦賀さんの腕の中は安心できて・・・・・暖かくて・・・・・気持ちよくて・・・・・ずっとここにいたいと思ってしまうんです」

それって俺は特別な存在って聞こえるよ?

「それなら疲れたらここへ戻っておいで?俺の腕の中で休んだら、また羽ばたいていけばいいよ。君が自分の心の声が聞こえるようになるまで待ってるから」

彼女の腕が、そっと俺の背中にまわされた。

つづく

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