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君恋ふる13

奏江


「京子ちゃん」

敦賀さんの背中を見送って歩きだしたら、不意に親友を呼ぶ声が聞こえた。

声のした方を見ると、一人の男性が親友を見つめていた。

この顔は…確かダークムーンに出てた人じゃなかったかしら。

親友が出ていたドラマは欠かさず見ていた。

芸能界の先輩に失礼のないよう挨拶をした。

「おはようございます」

「久し振り。元気そうだね~もういいの?」

親しげに親友に話しかけていたけど、記憶のない親友には誰だかわからないだろう。

私も咄嗟に、この男性の名前が出てこなかった。

とりあえず、さっきの不破尚の件もあるから、警戒することにこしたことはない。

親友の腕を掴んで引き寄せ、親友に代わってニッコリと笑ってその人に話しかけた。

「すみません、この子まだ記憶が戻ってないんです」

安心させようと思って親友に笑いかけたら、無邪気に可愛らしく微笑まれて、思いがけず顔が熱くなってきた。

も~私も赤面しちゃうような可愛らしい微笑みを、こんなところで披露しないで欲しいわ。

「そうか~じゃあ俺のことも忘れちゃってるままかな?」

そう親友に話しかけたその男性は、ホントに愛しそうに親友を見つめていた。

計算してやってるわけじゃないのはわかるけど、自分で馬の骨を呼び寄せてどうするのよ。

あんたラブミー部員なのよ?

「すみません」

その人はしょんぼりと俯く親友の頭を小さな子供をあやすように、軽くポンポンと叩いた。

はにかんで微笑む親友に焦ってしまう。

あんた何喜んでるのよ。

まさかこの人を好きになったなんて言わないでしょうね?

「俺、貴島秀人。だからもう忘れないでね?」

貴島…そういえば、そんな名前だったと思い出した。

親友にアプローチしてた人だ。

記憶をなくす前の親友は、この人に特別な感情を抱いてたわけではない。

これ以上今の親友の心に、この人を近付けるわけにはいかなかった。

芸能界の先輩に、失礼ながら睨みつけた。

「もうこれ以上は何もしないから、そんなに睨まないでくれない?美人が台無しだよ?」

そんなお世辞を言われようと、今の親友をこの人に託すわけにはいかなかった。

親友を庇うように前に出て、貴島さんと対峙した。

「何もしないって。やっぱり君って俺の恋敵なんだね、モー子さん」

恋敵?

何の事?

私は今までにこの人と会ったことがないのに、何故?

「どうしてその名をご存じなんです?」

「京子ちゃんの親友でしょ?君は」

「それが何か?」。

「ダークムーンの時、京子ちゃんの噂になってね。だから今みたいな京子ちゃんが頼りになるのは『親友のモー子さん』じゃないかと思っただけだよ」

一体どんな話をしてたのよ、この子は。

「それでどうして恋敵になるんです?」

「京子ちゃんに好きな人がいるかって聞いたら、『モー子さんです』って背後に花とばして教えてくれたからね」

何ですって?

思わず振り返って親友を見つめた。

目が合ってニッコリと微笑まれて、また顔が熱くなった。

だからこっちが思わず赤面しちゃうような微笑みはやめて欲しい。

不安げに見詰めてくる親友にため息が出る。

この子わかってないわね。

絶対誤解してるわね。

「可愛い女の子がそうやってじゃれ合ってるのを見るのは楽しいね。今日は時間がないからこれで退散するよ。またね、京子ちゃん」

そして貴島さんは手を振って歩いて行った。

親友は貴島さんの背中にペコリとお辞儀をすると、私にすがりついてきた。

「モー子さん、大丈夫?」

『大丈夫?』じゃないわよ。全く。何恥ずかしいこと言ってるのよ

「気分が悪いの?モー子さん」

私の呟きは聞こえてなかったようで、心配そうに問われて、思わず場所柄も考えず親友にどなってしまった。

「も~あんたが恥ずかしいこと言ったからでしょ!」

キョトンとするその姿がまた愛らしい。

お願いだからそうやってところ構わず魅力を振りまかないで欲しい。

誤解してるだろう親友の目に浮かんだ涙に、うろたえてしまった。

「馬鹿、違うから。変にとらないでよね。泣くことないわよ。悪かったわよ。謝るから」

「怒ってない?」

だからその顔やめて欲しい……

「怒ってないわよ。気分が悪いわけでもないわよ。ほら、早く行くわよ。後で事務所によらないといけないんだから」

そう言って足を速めて歩きだした。





ふと気になったことを親友に聞いてみた。

「あんたさっき貴島さんに頭をポンポン叩かれて喜んでたみたいだけど、まさか、あの人を好きになったとか言うんじゃないでしょうね?」

私の問いに、親友は不思議そうにしていた。

「会ったばかりの人だもの。好きだとかってわからないけど、嬉しかったの」

そう言ってはにかむ親友に目眩がしそうになった。

「また会いたいと思う?」

不安になって問えば、ニッコリ笑って頷かれて、目の前が暗くなった。

こんなことになって、どうすればいいのよ……

「だって、ドラマで見たお父さんみたいで、安心出来て嬉しかったの」

嬉しそうに告げる親友の言葉に、唖然としてしまった。

お父さん?

貴島さんが?

そして笑いがこみ上げてきた。

「キョーコ、今度あの人に会ったら、それ言ってあげなさいよ」

笑いながら告げたら、親友は不思議そうに見つめてきた。

「え?でも私のような子供を持ってる年齢には見えなかったけど?」

さっきの私の絶望を少しでも、心配させた貴島さんに味あわせたかった。

「あの人あれで子供好きだそうだから、きっと喜ぶわよ」

親友は意地の悪い笑みを浮かべる私がわかってないようだった。

「そうかな?」

首をかしげる親友はとても愛らしくて、抱きしめたくなった。

記憶が戻った時に、あんたが泣かなくて済むように守ってあげるから、だから笑っていてちょうだい。

12へ   つづく


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Re: No title


モー子さんは、態度に出さないけど、とってもキョーコを大事にしてると思ってます。
だから、こんな感じでキョーコのナイトになってもらっちゃいました♪
ご心配くださってありがとうございますm(__)m
今のところはまだ大丈夫です。
年末になるとなかなか更新も出来ないでしょうけど、無理しない範囲で頑張りたいと思います。
ありがとうございましたm(__)m
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