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続 心の声

宇宙猫さんに頂いた感想から、思わず続編を妄想してしまいました。

心の声と2つの続編あわせて、宇宙猫さんに捧げさせて頂きます。


続 心の声

愛しくてたまらくなって、つい告白してしまったあの日から、お互い仕事が忙しくてすれ違う日々が続いていた。

あの日、朝起きたら彼女の姿は消えていて、リビングには『ご迷惑かけてすみませんでした』と書かれたメモだけが残されていた。

電話もメールも、彼女の心をかき乱すような気がして躊躇われ、俺からは何もしなかった。

じっと彼女からの連絡を待っていたのに、彼女からも連絡がないまま日々が通り過ぎてきた。

事務所に入ると、一か月ぶりに愛しい彼女の姿が見えた。

元気そうでホッとした。

「やぁ、最上さん」

彼女と目があったので、いつも通り声をかけた。

いつもなら彼女は礼儀正しく挨拶をしてくれるのに、今日はこちらを凝視して何も言ってこない。

おかしいな?

彼女らしくないと思い、社さんと顔を見合せて近づいて行った。

手が届く距離まで近寄ると、突然彼女は「ふぇ~ん」と泣き出した。

今度は何があったんだ?

「キョ、キョーコちゃん、どうしたの?」

社さんも、慌てていた。

ボロボロと人目も気にせず泣きだした彼女に、男が二人オロオロするだけだった。

とにかく人目を避けようと、泣いてる彼女を促して、手近の空いてる会議室に駆け込んだ。

社さんも心配して会議室の中に入ってきた。

「最上さん、どうしたの?何があったの?話してごらん?」

優しく彼女に問いかけた。

彼女はボロボロ涙を流しながら俺に抱きついてきた。

かつて彼女の方から俺に抱きついてきた事があっただろうか!?いや、ない!

驚きと、喜びと、自分の中に言い知れぬ感情が湧いてきて、反射的に強く彼女を抱きしめた。

腕の中の彼女が、この上なく愛しかった。

彼女の方から俺に抱きついてきた事に、社さんは驚愕していた。

「キョ、キョーコちゃん?」

社さんの呼びかけも耳に届いていないのか、彼女は俺の腕の中で「怖かった」と何度も言いながら泣いていた。

「何があったの?」

少しでも彼女が落ち着くようにと、優しく髪をなでた。

「あの日・・・・・どんな顔して敦賀さんと会えばいいのか・・・・・わからなくて・・・・・逃げ出して・・・・・」

彼女はしゃくりあげながら話しだした。

「気にしてないよ」

俺だって朝起きた時、君にどんな顔すればいいんだろうって思ってたしね。

「そのあとも・・・・・会ったら・・・・・どうすればいいんだろうって思ってたのに・・・・・全然会わなくて・・・・・謝れなくて・・・・・」

「謝る事なんて何もないよ?」

俺の方が君に謝らないといけないんじゃない?

「お礼も・・・・・言えなくて・・・・・」

「そんな事気にしなくていいよ」

君にならどんなことでも頼られたいよ?いつでも俺を頼ってくれていいんだよ?

「電話も・・・・・ためらわれて・・・・・」

「いつでもかけてきてくれていいのに」

君の声なら毎日でも聞いていたいよ?

「メールも・・・・・どう書いていいのか・・・・・わからなくて・・・・・」

「何でも書いてくれていいよ?心のままに思い浮かんだ事を書いてくれたら嬉しいよ」

君が感じてること、考えてること、君のことならどんなことでも知りたいよ?

「どうしようって・・・・・思ってる間に、どんどん日が過ぎて・・・・・」

「お互い忙しくて、全然会えなかったね」

君に会えない日々は辛かったよ。

「敦賀さんに・・・・・もう・・・・・嫌われちゃったんだと思うと・・・・・」

「そんなことあるわけないだろ?俺が君を嫌いになることはあり得ないよ」

君が不安になるなら何度だって好きだと告げるよ?

「怖かった・・・・・」

そう言って「ふぇ~ん」と彼女は泣いた。

なんて愛しいんだろう。

会わなかった間に、こんなに彼女が俺のことを考えてくれてるとは思わなかった。

「泣かなくていいよ。俺も会いたかったよ。電話もメールもしなくてごめんね?君を混乱させてもいけないと思って、君からの連絡を待ってた。こんなに不安にさせるなら俺からすればよかったね。ごめんね。次からは遠慮なく電話もメールもするよ。だから君も俺にしてくれる?」

彼女はコクコクと頷いた。

「あんまり泣くと目がとけちゃうよ?泣いてる君も可愛いけど、笑顔の方がもっと可愛いよ?」

少し身体を離して、彼女の涙をそっと指でぬぐってやった。

「よかった」

そう言ってほほ笑んで、彼女はぎゅっと抱きついてきた。

まるで会えなかった日々を埋めるかのように。

腕の中に愛しい彼女を抱きしめて、幸せに酔いしれた。

ねぇ、まだ心の声は聞こえないの?




しばらくすると、腕の中で彼女がもぞもぞ動きだした。

強く抱きしめすぎたかなと不安になって、腕の力を少し抜くと、彼女は俺の顔を見上げてきた。

目が合うと、ボンっと音がしたかのように、彼女の顔が真っ赤になった。

そんな彼女も愛らしい。

他の男の目に触れないように、ポケットに入れて連れて行きたいよ。

「ご・・・・・ごめんなさい」

彼女は俺の腕から飛び逃げるかのように離れてしまった。

「謝ることは何もないよ?」

俺は君を抱きしめれて幸せだったし。

むしろ君から抱きつかれるなんて、いつでも大歓迎なんだけど。

つい、にやけそうになる顔を引き締めて、彼女が不安にならないように笑顔で見詰めているつもりなのに、彼女はどんどん後ずさっていく。

一体どうしたというんだろう。

不思議に思って、彼女に近寄っていくと、突然彼女が叫んだ。

「いや~!なんて破廉恥な!」

そして彼女は会議室から飛び出して行ってしまった。

あまりのことに呆然としていると、いつの間にか会議室から姿を消していた社さんが、ドアから顔をのぞかせていた。

「るぇ~んく~ん。キョーコちゃん『破廉恥』って叫びながら出て行ったけど、こんなことでどんな悪さしたのかな~?」

社さんはニヤニヤと意地の悪い笑みを浮かべていた。

「何もしてないですよ。見てたんだからわかりますよね?泣いて抱きついてきた彼女を抱きしめて慰めてただけじゃないですか」

言いがかりはよして欲しかった。

「とか言っちゃって~俺がいなくなってから押し倒したんじゃないの?」

社さんは完全に俺で遊ぶ気のようだ。

「そんなことするわけないじゃないですか!付き合ってるわけじゃないのに」

俺の言葉に社さんの顔が強張った。

「なんだって?あんなにラブラブな雰囲気醸し出しといてまだ付き合ってないとか言うのか?」

すごい勢いで社さんが突進してきた。

「お前は一体何をやってるんだ!」

ガクガクと身体を揺さぶられた。

「何って・・・・・仕方ないじゃないですか」

「お前がへたれだから、キョーコちゃんとの仲が進展しないだろうが!」

一体どうしてここまで社さんに怒られないといけないのか、わけがわからない。

「へたれって何ですか」

ムキになって言い返した。

「お前、そんなんじゃまだ告白すらしてないんだろうが」

「告白ぐらいしましたよ」

ついポロリと言ってしまった。

社さんは、そんな俺をポカンと見詰めた。

「それでどうしてまだ付き合ってないんだ?あんなにラブラブムードいっぱいで・・・・・。キョーコちゃんってあんな風に自分から抱きついたり出来ないタイプだろ?」

「彼女からの返事は保留中なんですよ」

「どうして?」

不思議そうに社さんが聞いてきた。

「自分の気持ちがわからないんだそうです」

そう告げた俺を見詰める社さんの顔に”不憫な奴”だと書いてあるようで、面白くなかった。

前へ   つづく
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