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君恋ふる16



蓮がキョーコちゃんのことを心配していたので、俺はすぐに椹さんに連絡を取った。

「今日のことで話があるから、社も事務所に来るように社長が言ってたぞ」

椹さんの言葉に、まだ撮影中の蓮を置いて、一足先に事務所に向かった。

社長室には、椹さんに、琴南さん、そしてマリアちゃんが揃っていた。

マリアちゃんは俺の顔を見て、ニッコリ笑って言った。

「お姉さまことで私に内緒なんて許せませんわ」

マリアちゃんがここにいることに異存はないけれど、戸惑ったことを見透かされているように思った。

まだ蓮からも詳しく聞けてなかったので、琴南さんが蓮と別れてからの話を俺達に語ってくれた。

「さっきお聞きした時にも思ったんですけど、どうして歌手の不破さんが、お姉さまにそんなに親しげに話しかけるんですの?」

キョーコちゃんと不破君との関係を知らない者からしたら、当然の疑問だろう。

俺はキョーコちゃんから事情を聞いているからわかるけど。

複雑そうな琴南さんの表情を見てると、彼女も事情を聞いていそうだなと思った。

「最上さんが、不破尚の追っかけだったからじゃないのか?」

椹さんの一言に、驚いてしまった。

マリアちゃんも驚愕している。

どこでキョーコちゃんが追っかけだとかって話になってるんだ?

「そんな馬鹿なことあるわけないじゃないですか!」

俺よりも先に琴南さんが叫んだ。

「キョーコちゃんが不破君の追っかけだなんて誰に聞いたのかは知りませんけど、あり得ませんよ」

琴南さんの言葉を添えるように言った。

「ん?お前ら何か事情知っているのか?」

社長の言葉に思わず琴南さんを見てしまった。

琴南さんも、探るように俺を見ていた。

「ここにいるのは、お姉さまを慕って心配している人だけですから、何を聞いても外に漏れる事はありませんわ。それでも話せませんの?」

マリアちゃんが悲しそうに言った。

俺は覚悟を決めて深く息を吐き話し出した。

「俺が知っている範囲の話だと、キョーコちゃんと不破君は幼馴染だそうですよ。親御さんの事情で、キョーコちゃんは不破君の家に預けられてずっと一緒に育ったそうです。不破君が上京する時にキョーコちゃんもついてきたらしいんですよ」

俺が抱いてる不破君への不快感を極力出さないように話したつもりだった。

琴南さんは、俺の言葉に続いて吐き捨てるように言った。

「自分で自分の面倒みれないおぼっちゃんが、キョーコだまして一緒に上京して、キョーコを高校にも行かせず働かせて貢がせて、身の周りの面倒みさせてつくさせてたのに、デビューした途端に、用済みになったキョーコ捨てた関係だそうですよ」

俺だってその話聞いた時は、不破君にいい感情抱いてなかったけど、琴南さんもかなり不破君には含むところがありそうだと思った。

「なんですって~~~!」

マリアちゃんの絶叫が耳に痛い。

椹さんは青ざめて呟いた。

「そんな関係だと知らずに俺は、最上さんに不破尚との仕事をさせていたのか………」

社長は溜息をついて言った。

「それが彼女がラブミー部員になった原因か」

「そうだと思います」

琴南さんは不機嫌そうに言いきった。

今のキョーコちゃんを見ていたら、元々キョーコちゃんはあんな風に無邪気に愛情にあふれた少女だったんだと思う。

つまり、それがラブミー部員になってしまうほど、不破君から受けた仕打ちがキョーコちゃんにとって大きな傷になった事は想像に難くない。

「お姉さまにそんなことを………許せませんわ」

マリアちゃんを包む雰囲気が『呪ってやる』って告げているようで、顔がひきつってしまった。

「事務所の中も、外もお姉さまに危険がいっぱいだなんて………」

「だからって、家で大人しくしてられる子じゃないしね」

俺も琴南さんの意見に頷かずにいられない。

本来ならずっと記憶が戻るまで社長の家で過ごしていたはずだ。

それなのに、日常生活に支障がなくなるとすぐに事務所で雑用を始めたなんて、子供の頃から他人の家で過ごしてきた彼女だからこそ、のんびりと過ごすことが出来ないんだろうと思う。

「いっそ、蓮の付き人にするか?彼女の記憶が戻るまで。蓮についてあちこち行ってるうちに、何か思い出すかもしれんしな」

「おじいさま、それは名案ですわ!」

マリアちゃんが手を叩いて喜んでいる。

目の届くところにキョーコちゃんがいれば、蓮も安心だろうけれど………

キョーコちゃんを蓮の付き人にだなんて、社長は何を企んでるんだ?

「それはちょっと、まずいんじゃ?確か蓮は最上さんを気に入らないって言ってたんじゃ?」

椹さんの言葉に、驚いてしまった。

「どこからそういう話になっているんです?」

慌てて聞いた俺に続くように、社長も口を開いた。

「誰が誰を気に入らないって?」

「どうして蓮さまがお姉さまを気に入らないんですの?」

「そもそも誰がそんなこと言われたんです?」

マリアちゃんも琴南さんも、俺と同じように驚いている。

今、社長も、マリアちゃんも、琴南さんも、何かひっかかることを口にしなかったか?

「以前に、蓮からそう聞いたんだけど、違うのか?」

椹さんの言葉に唖然としてしまった。

「それはずいぶん前の話ですよね?確かに出会った当時は気に入らないって言ってましたけど、代マネの時に、キョーコちゃんへの誤解が解けて見る目が変わったって蓮本人が言っていましたよ」

「それなら何も心配いらないか。じゃあそういう方向で」

椹さんは一人納得するとあっさりと承諾した。

「最上さんの住むところはどうします?社長の家から通わせますか?」

キョーコちゃんが付き人になれば、蓮の仕事の時間で出勤も帰宅も不規則になってしまう。

そうなれば、今は社長の秘書に送り迎えしてもらっているらしいけど、そちらも大変だろうなと思う。

「蓮のマンションに空きがあるから、明日にでもそっちに荷物を運ぶように手配しよう」

社長は当たり前のように言った。

蓮のマンションに?いいのか?ほんとに。

琴南さんが、何か言いたげに俺を見つめていた。

俺が考えこんでいる間に、椹さんは社長室から出て行った。

「変な男にお姉さまをさらわれるぐらいなら、蓮さまに守っていただいてた方がいいですわ」

マ、マリアちゃん?

「敦賀さんなら嫌がる女の子に無理強いしないでしょうし、仮に二人がくっついたところで何の支障もないし、万一そうなってくれたら、敦賀さんからあの子を奪おうなんて男性はほとんどいないでしょうから、まずあの子の心配をしなくてよくなりますよね。後は敦賀さんのファンとか、敦賀さんを狙ってる女性からあの子を守るだけだから、そこは敦賀さんと社さんが頑張ってくれますよね?」

こ、琴南さん?

「これで蓮の腰が上がらないようなら俺はもう知らんぞ」

し、社長?

三人の言葉に、唖然としてしまった。

「あんなにだだ漏れで、判らない人の方がおかしいですよ。特に私はキョーコと一緒の時間が他の人より多いですし」

「お姉さまも蓮さまも大好きですもの。変な人にさらわれぐらいなら、お二人にくっついて欲しいと思いますわ」

「俺が知らないとでも思っていたのか?」

口々に言われて、白旗を上げるしかなかった。

みんな蓮の気持ちを知ってたのか!

蓮、お前こんなに応援団がついてるんだ、見捨てられないように頑張れよ。

心の中で担当俳優に呟いた。

15へ   つづく

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