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それは誰のため?もちろん……後

「おい、キョーコ」

「げっ!」

目の前の遭遇に、俺は言葉を失った。

例のごとく、キョーコちゃんは満面の笑みを浮かべて、蓮の元へやってきた。

先日とは違い、ここはTV局内。

下手に人目を引くところでラブラブぶりを披露されないためにも、さっさとキョーコちゃんを蓮の楽屋に連れて行こうとしたところだった。

「お前に話があるんだよ」

「何よ」

「ここじゃ話せねぇんだよ」

「何もったいぶってんのよ、ショータローのくせに」

「その名で呼ぶな!」

「うるさいわねぇ。ショータローをショータローと呼んで、どこが悪いのよ」

目の前で、舌戦が繰り広げられる。

蓮がこの場にいなくてよかったよ。

「お前、年末に電話した時、あの野郎が電話に出たけど、あんな夜遅くに、あの野郎が出るなんて、ホントに付き合ってるのか?」

「は?何言ってるのよ」

「キョーコちゃん」

とにかく早くキョーコちゃんを移動させようと思うのに、全く動く気配がない。

「ふ、不破君と待ち合わせてたの?」

「まさか!湧いて出て来たんです」

そんなことはないだろうと思いつつも問いかけたら、期待した返事が返ってきた事でホッとした。

「俺は虫か!」

「蓮!」

俺よりも早く蓮に気付いたキョーコちゃんは、嬉しそうに駆けよって行った。

「もうお話終わったの?」

「ごめんね?キョーコが来てるのに。」

「お仕事だから仕方ないわよ」

目の前の不破君を、そこにいないかのようにふるまう二人に、不破君が固まっていた。

「じゃあ、行こ?」

キョーコちゃんは、とっても自然に蓮の左腕に抱きついて、そのまま歩きだした。

蓮の背中が「ついて来るな」と俺に告げているように感じるのは、気のせいだよね?





敦賀蓮、熱愛発覚!

そんな見出しのスポーツ新聞を、蓮は嬉しそうに見つめていた。

そうだろうなぁ~

誤報とは言え、好きな子と取り上げて貰ったんだから嬉しいんだろうな。

お前、記事を切り取って、大事に保管しそうだな。

こんなことになるんじゃないかと思ったから、俺は必死になってたのに、二人ともちっとも隠す気配がなかったんだから……

まぁ、それは『誕生日プレゼントの兄妹ごっこ』だったから、キョーコちゃんの方はスクープされる可能性なんて考えなかったんだろうなぁ。

なんせ『お父さん』の時は、スクープされなかったわけだし。

「あのな、蓮」

「なんですか?」

「松島主任が困ってるぞ?」

蓮は、やっと新聞から顔をあげると、チラリと俺を見てまた記事に目を落とした。

俺に説明しろってことか…

「―――っというわけなんです」

事の起こりから順に説明すると、松島主任は呆れたように笑った。

「『兄妹』と、『恋人』間違えるなんてな…」

「まぁ、二人とも熱演ですからね」

まるで恋人同士みたいな、甘ったるい雰囲気が二人を包んでいて、俺と言えば当てられっぱなしだった。

「ところで、蓮が『お父さん』だった時はよくスクープされなかったな」

松島主任の疑問は当然だ。

『お父さん』の時だって、今のように大っぴらにしてたというのに。

「そこが不思議なんですよね。何故今頃になってって思いますよ」

強いて言えば、『お父さん』の時はどこかキョーコちゃんが遠慮がちで、甘い雰囲気なんてなかったかなぁ。

「事務所としてはどうコメントしたらいいものかな?」

松島主任が悩んでいた。

「ノーコメントでいいですよ」

「蓮?」

蓮の言葉に驚いた。

「ま~そういうなら事務所はノーコメントということで」

「それでお願いします」

「ところで、彼女の方はいいのか?知ったら慌てるぞ?」

その時、松島主任の電話が鳴った。

「おい、彼女が下で記者に捕まってるらしいぞ?」

その言葉を聞くなり、蓮が駆け出して行った。

俺も慌てて後を追った。

記者に囲まれて身動きとれず、怯えたように固まってるキョーコちゃんに、蓮はゆっくりと近寄った。

蓮の怒りが全身から感じられて、気圧された記者が自然と道を開けて行く。

蓮に気付いたキョーコちゃんは目に涙を浮かべて……いきなり土下座したんだ。

周りの記者も驚いている。

「も、申し訳ありません」

蓮はキョーコちゃんの傍にかがんで、優しく問いかけた。

「どうして謝る事があるの?」

「だって…私が考えなしにしたことで、敦賀さんの名前に傷付けて」

「傷なんてつかないよ?」

「だって…今までスキャンダルに無縁だったのに……」

「社長だったら喜んでくれるよ?」

「じゃあ、お二人はホントにお付き合いされてるんですね?」

記者から質問がとんだ。

「それだけ演技がよかったってことだからね?」

「演技?」

周りから気の抜けたような声が聞こえた。

蓮はキョーコちゃんを立たせて、周りの記者に笑いかけた。

「これは、彼女が俺にくれた誕生日プレゼントなんですよ」

「はぁ?」

「俺が社長のお孫さんに頼まれて、彼女の誕生日に『お父さん』を演じたんです。そのお返しに、彼女が俺の誕生日に『妹』を演じてくれているんです」

「でも、どこから見ても恋人同士にしか見えませんよ」

「だからそういう演技なんです。もともと今回の設定はうちのマネージャーが言いだした事なんです。知らない人が見たら恋人同士に見えるようなブラコンの妹って」

「はぁ……」

なんとなく記者は納得がいかないようだった。

「敦賀さん…私、やっぱりもうやめます」

「一度引き受けた役を役者が途中でおりるの?」

「だって…こんな風にみなさんに誤解されて……敦賀さんもお困りでしょ?」

「何も困る事無いよ?妹のいない俺に妹が出来て楽しんでるのに」

蓮の周囲から、冷気を感じる。

やばいと思った。

これ以上記者の前で話をさせたらいけないと。

「楽しことになってるじゃねぇか」

いきなり登場した社長に驚いた。

「よくやった、蓮、最上君。俺は嬉しいぞ」

「社長?」

何が嬉しいんだろうと、思わず問いかけてしまった。

「あ?」

社長が、何だとばかりに問いかけした。

「嬉しいって…」

こんな事態だと言うのに、脱力しそうになった。

「周囲が熱愛だと誤解する演技が出来るようになった二人を、喜んでどこが悪い?」

そういうものですか?

「最上君。心配しなくても、何度も誤報を流したりしやしないさ。いくらでも『娘』でも『妹』でもやるといい。自分が楽しいと感じるならな?」

社長の言葉に、キョーコちゃんが恐る恐る顔をあげた。

社長にも蓮にも優しく見詰められて、キョーコちゃんは嬉しそうに微笑んだ。





椹さんに報告したら学校に行くというキョーコちゃんと分れて、話があるという社長に連れられて、社長室に向かった。

「よかったな~蓮」

「なんですか?」

「これで大ぴらに最上君とデート出来るぞ?」

社長が面白そうに笑っている。

俺でも怪我の功名なんじゃないかと思ってるぐらいだ。

でも、社長は蓮の想い人を知ってたんだな。

蓮が恋してることがバレてるのは知ってたけど、相手を特定しているとは思ってなかったから驚いた。

「あのですね…」

「まだ口説いてないとか言わないだろうな?」

社長の言葉に、蓮は視線を彷徨わせていた。

「何やってんだ、お前は!これでやっと最上君もラブミー部を卒業かと思ったのに…」

社長は、一喝した後に愚痴りだして、思わず口元がほころんだ。

「蓮。お前、最上君を口説けなかったら、ラブミー部に入れるぞ?お前のつなぎを作るように言っておかないとな。」

どこか楽しそうに告げられた言葉に、蓮が呆然としていた。

「止めて下さい!蓮のイメージが……」

この社長を止められる人がいない事は知っている。

だけど、蓮!お前も黙ってないで、社長を止めろよ!

止められないなら、さっさとキョーコちゃんを口説いてこい!

その場に立ち尽くす蓮を蹴り飛ばしたくなった。

前へ  おわり

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