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君恋ふる20




「何考えてるんですか!」

社長の言葉に思わず反射的に素で怒鳴ってしまった。

「本気で言ってるんだぜ?」

「たちのわるい冗談にしか聞こえませんよ」

「そんなにいやなのか?」

「そういう問題じゃないでしょ」

嫌なわけがない。

愛しい彼女とずっと一緒にいられるのは、夢のような事だと思う。

でも、彼女に片想い中の俺としては、愛しく思う気持ちに素直に行動するわけにはいかないのだから。

「社長」

次の言葉を口にする前に、社さんが割って入った。

「キョーコちゃんへのお話は済んだんですよね?」

社さんの言葉に、彼女に視線を投げかけると、彼女はしょんぼりと俯いていた。

感情にまかせて怒鳴り、彼女がどう思うかまで気が回らなかった。

何か言わなくてはと思うのに、言葉が出ない。

「あぁ、社と最上君はもういいぞ」

しょんぼりする彼女の姿は、胸が痛かった。

社さんが一礼して、彼女を連れて社長室を出て行った。

心の中で「ごめん」と彼女に謝った。

ドアが閉まってから社長に向き直った。

自分の失態なのに、社長が恨めしくて仕方なかった。

「俺の理性がもたなかったらどうするんですか」

八つ当たり気味に社長に問いかけた。

「そんときゃそんときだな」

どこか楽しそうに告げられてムカついて来る。

「そんないい加減でいいんですか!」

社長は俺のどなり声も平然と受け流していた。

「とにかく、一緒の部屋に住むだなんて無理です!」

愛しい彼女と一日中一緒にいられて、しかも誰にも邪魔されない環境まで整えられて、手を出さないでいられる自信がなかった。

「その方が都合がいいじゃないか」

意味あり気にニヤニヤ笑われて、余計に怒りがわいてくる。

「俺が日本人じゃないってばれるのも時間の問題ですよ」

『コーン』は俺だと、彼女が先生と慕っているクーの息子の久遠だと、まだ彼女に告げるつもりはない。

「俳優敦賀蓮の腕の見せどころじゃないか」

「思いっきり俺で遊んでますね?」

俺の反応を楽しんでいる社長は、たちが悪い。。

「お前今の最上君見てどう思う?」

「今の姿が本来の彼女に近いと思いますよ。愛したくも愛されたくもないラブミー部員だなんて思えないですよ」

社長の問いかけに、深く考えずに答えてしまった。

「本来?お前以前に最上君に会った事があるのか?」

つい余計な事を言ってしまった。

黙り込んだ俺に、社長はそれ以上聞いては来なかった。

「ま~どうでもいいが、俺はお前も最上君も幸せになって欲しいと思ってるよ。お前たちの為によかれと思ってやってることだ」

そんな風に言われたら反論しにくくなってしまった。

「告白もしないで手を出すなよ?」

「俺達は社長のおもちゃじゃありません!」

ニヤリと笑って告げられたその言葉に、素直にお礼を言う機会を逃してしまった。

用は済んだとばかりに手を振られて、社長室を出た。





今の気持ちのままで彼女のところに行くことは出来なかった。

エレベーターに乗る前に、気持ちを落ち着かせようと深呼吸をした。

今日からは帰る家が一緒になるのだから。

彼女の誤解も解かないと……

自業自得とは言え、ため息が出た。

彼女の支えになろうと誓っていたのに……どうしてあんな言い方しか出来なかったのか……

多分二人はラブミー部の部室にいるだろうと、足を向けた。

ノックしてドアを開けたら、彼女は一人で座っていた。

「社さんは?」

社長室で感情に任せて怒鳴ったせいか、彼女は俺の顔を見て戸惑っているように見えた。

「松島主任に、報告しないといけないことがあるからと行かれました」

「そう」

社さんと入れ違いにならないためにも、ここで待つことにした。

何といって切り出そうかと躊躇っていると、彼女は居心地が悪そうにしていた。

いくら社長命令とは言え、やっぱり彼女だって男と二人で同居するなんて嫌なんだろうな……

「あの……」

彼女がじっと俺の目を見つめて言った。

「敦賀さんには不本意でしょうけど、私一生懸命頑張りますから」

不本意なんてとんでもない。

君と一緒にいられるのは嬉しいよなんて言えるわけがない。

彼女に変に思われないためにも何か言わないとと思うけど、言葉が出なくて、ただ、彼女を見つめていた。

「私なんかがお邪魔してたら、寛げなくてお嫌かもしれませんけど、お仕事なので、許していただけませんか?」

さっきの俺の態度を責めたりせず、こんな時でも彼女は俺を気遣ってくれるのか?

「そんなことないから」

「え?でも……」

「さっき社長室で言ってたのはそういうことじゃないから」

彼女は俺の言葉がよく理解出来ないようだった。

「そんな心配はいらないんだよ。キョーコちゃんの方はどうなの?」

俺の言葉に彼女は首をかしげていた。

「キョーコちゃんは男と二人で暮らすことに不安はないの?俺と毎日一緒って嫌じゃない?」

彼女はニッコリ笑って言った。

「敦賀さんと一緒にいて嫌だなんてことはありませんよ?不安は……敦賀さんにお気に召して頂けるものが作れるかなとかっていうことならありますけど……」

ほんとにため息をつかずにいられない。

俺は今の彼女にとって、男として見られてないのだろうか……

俺に襲われたらとか微塵も思わないのだろうか。

好きな子と一緒に暮らして、俺の理性は持つのか?

19へ   つづく

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