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君恋ふる21

キョーコ

社長さんの命令で、明日から敦賀さんの付き人になることが決まった。

付き人のお仕事がわからなかったので、どんなことをするのかたずねると、食事に関心が薄いらしい敦賀さんに『三食食事をとらせてくれ』という話だった。

食事を食べる事は、当たり前のことなので、それがお仕事っていうのがよくわからなかった。

とにかく明日から敦賀さんに食事を作って食べて貰えばいいみたい。

幸い社長さんのお宅に下宿してるときも、記憶を取り戻すきっかけになればとお料理はやってたので、ちょっぴり不安だけど、なんとかなるかもしれないと思った。

それなのに、社長室での敦賀さんはとってもピリピリしてる感じで、いつも私には優しく微笑んでくれた人と同じ人には思えなかった。

いつも優しく微笑んでくれてたから気付かなかったけど、私そんなに敦賀さんに嫌われてたのかしら……

社さんに連れられて社長室を出た時につい口から出てしまった。

「私、あんなに嫌がられるぐらい、敦賀さんに嫌われてたんですね……」

「違うからね?」

落ち込んでいる私を、社さんは慰めてくれた。

「そんな風に考えないでね?蓮はね、キョーコちゃんを心配してるんだよ」

「心配?」

私に付き人がつとまるのか…とか?

「私がちゃんと食事の支度が出来るのか…とか?」

「キョーコちゃんの料理の腕前は知れ渡ってるからそんな心配じゃないよ」

思いついたことを口にしたら、社さんは否定してくれた。

料理の腕前が知れ渡ってるっていうのが不思議で、疑問が口を衝いて出た。

「どうしてですか?」

そんな私に、社さんはマリアちゃんと私が主催したというパーティの話をしてくれた。

私…そんなに楽しかったことの記憶までなくなってるんだ……

思い出したい……

ねぇコーン、どうしたら思い出せるかしら?

「だからね、キョーコちゃんの料理上手は知れ渡ってるんだよ」

ラブミー部の部室に入ってから、社さんに改めて問いかけた。

「それで、敦賀さんが心配されることってなんですか?」

ねぇコーン、あんな風に社長さんに怒るぐらいに心配なことって何かしら?

「逆にキョーコちゃんに聞きたいんだけど」

「なんでしょう?」

「キョーコちゃんは、蓮と一緒の部屋で暮らすことに不安はないの?」

「どんな不安ですか?」

一瞬社さんが困っているように見えたんだけど、社さんの質問に問いかけてしまったのはいけなかったかしら。

ねぇコーン、マリアちゃんが『信頼して下さって大丈夫です』って言ってくれる人で、いつも優しくしてくれる人と一緒で抱く不安ってどんなもの?

「蓮と毎日一緒って嫌じゃない?」

「どうして嫌なんですか?」

ねぇコーン、記憶を無くす前の私にとってコーンと同じぐらい大事な人だった敦賀さんだもの。嫌なはずないわよね。

黙り込んでしまった社さんに、何かいけないことを言ったのかと不安になった。

「あの……」

「ごめんね。松島主任に報告しないといけないことがあるから、ちょっと行ってくるね。どこにも行かないでここで蓮を待っててね?それと、携帯は服のポケットにでも入れといてね?」

ねぇコーン、私は何かいけないことを言ったのかしら……

ぼんやりと過ごしていると、敦賀さんが部室に入ってきた。

「社さんは?」

一人で部室に座っている私に、不思議そうに問いかけられた。

「松島主任に、報告しないといけないことがあるからと行かれました」

「そう」

短く答えて椅子に座る敦賀さんは、どことなく疲れてるように見えた。

こんなに疲れてるのに、私の事を心配してくれたんだ……

今日から一緒に暮らすんだからやっぱりこんな風に黙ってちゃいけないわよね。

「あの……」

敦賀さんが私の顔を見つめていた。

「敦賀さんには不本意でしょうけど、私一生懸命頑張りますから」

敦賀さんは何も言わないから不安になってきた。

「私なんかがお邪魔してたら、寛げなくてお嫌かもしれないってわかってるんですけど、お仕事なので、許していただけませんか?」

私の言葉に、敦賀さんがため息をついた。

「そんなことないから」

「え?でも……」

ねぇコーン、敦賀さんは返事もしたくないぐらい疲れているのかしら?

「さっき社長室で言ってたのはそういうことじゃないから」

重ねて否定されて、安心した。

「そんな心配はいいんだよ。キョーコちゃんの方はどうなの?」

敦賀さんの言葉の意味がわからないから首をかしげてしまった。

「キョーコちゃんは男と二人で暮らすことに不安はないの?俺と毎日一緒って嫌じゃない?」

社さんと同じ事聞いてる……

「敦賀さんと一緒にいて嫌だなんてことはありませんよ?不安は……敦賀さんにお気に召して頂けるものが作れるかなとかっていうことならありますけど……」

正直に告げたのに、敦賀さんは深く溜息をついて俯いてしまった。

ねぇコーン、私は何かいけないことを言ったのかしら……

社さんの用事はまだ終わらないとかで、結局敦賀さんと二人だけで帰宅した。

20へ   つづく

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