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君恋ふる番外編

本編に入れるにはちょっと雰囲気が違うかなぁと思ったので、番外編にしてみました。

本編と時間は繋がってます。



キョーコちゃんが蓮の付き人になってから、蓮に声をかけるふりしてキョーコちゃんに近づく輩が多いことに驚いた。

声をかけられる度に首をかしげて蓮を見上げるキョーコちゃんは、ホントに愛らしかった。

最初は珍しそうに声をかけて、キョーコちゃんの無邪気な笑顔に落とされるようだ。

勿論キョーコちゃんは、何の打算もなく自然体でいるだけなんだけど、キョーコちゃんに恋する蓮にとったら、気が気でないんだろうな。

どっちが付き人なんだと、疑いたくなるぐらいキョーコちゃんに気を配っている。

勿論、俺だってただ傍観していたわけじゃなく、蓮と一緒に馬の骨退治に奮闘していた。

それにしても、いつの間にキョーコちゃんが、こんなに蓮に心を許すようになったんだろうか。

応援団の一員として、それは喜ばしい変化だった。





「社さん、ちょっと買い物に行ってきてもいいですか?」

キョーコちゃんがこんなこと言いだしたのは、蓮の台本を受け取りに、事務所に寄ったついでに、時間があるからとラブミー部の部室で寛いでいる時だった。

キョーコちゃんの買い物には、今まで必ず俺がついて行っていた。

蓮が一緒に行ってバレた時には騒ぎになるからだ。

蓮にしたら、そこは面白くないらしく、キョーコちゃんがスーパーに行かなくてすむように、食材をネットで注文するようになったらしい。

それを聞いた時には、思わずニンマリ笑ってしまった。

ラブミー部の部室は、部員以外はまず人が来ない。

たまには蓮に、人目を気にせずにリラックスさせてやりたいと思うには、最適の場所だった。

「どこ?一緒に行くよ」

キョーコちゃんを一人にしないように気を配っていた蓮と俺だったけど、昨日はタイミング悪くキョーコちゃんを一人にしてしまった。

「いえ、一人で行けますから」

一人でって…まさか昨日あんなに怖がって蓮に抱きついて泣いてたくせに、もう忘れたとか言わないよね?

用事を済ませて戻った楽屋で、抱きあってる二人を見た時は、びっくりしたんだよ?

二人の仲の進展を望んでいるのに、俺は邪魔をしてしまったんじゃないかと思わずまわれ右をして楽屋を出てしまったんだから。

その後勘違いを蓮に怒られて、怖い目見たけどね…

「キョーコちゃん一人で買い物に行かせるわけにいかないよ?」

昨日の今日なので、蓮も心配してキョーコちゃんを諭していた。

「いえ……あの……」

「さ、行こ?何が欲しいの?」

言葉に詰まるキョーコちゃんを促したら、キョーコちゃんの目にみるみる涙が浮かんできた。

「え…?」

「ちょ、キョーコちゃん?どうしたの?」

突然ポロポロ泣きだされて、蓮も俺もどうしていいかわからなくなった。

蓮はキョーコちゃんの横にしゃがみこんで優しく問いかけていた。

キョーコちゃんはしゃくりあげて首を横にふるだけで、何も言ってくれなかった。

途方の暮れていたら、キョーコちゃんの携帯が着信を告げて、泣きながらキョーコちゃんは電話に出た。

「……モー…子さ…ん…」

電話の相手に何か告げようとしているのに、キョーコちゃんは言葉が出ないようだった。

そんなキョーコちゃんが不意に自分の携帯を俺に差し出した。

「え?俺?」

慌ててゴム手袋を装備して、携帯を受け取った。

「お待たせしました。社です」

「社さん?お疲れ様です。琴南です」

「琴南さん?お疲れ様。俺に用?だったらキョーコちゃんの携帯じゃなくて、俺の携帯にかけてくれたらよかったのに」

「『俺に用?』じゃないですよ。キョーコが敦賀さんの付き人やるから、妬まれて虐められたりしてないかと心配になって電話してみたら、泣いてるじゃないですか!事情を聞いても泣いてるだけで話してくれないし。社さんから聞こうと思って代わってもらったんですよ。何があったんですか?」

きつい口調に思わずひるんでしまう。

「いや、俺にもわかってない。急に泣き出されて」

「まさか、目を離したんですか?」

不可抗力で目を離したのは昨日のことなのに、もう聞いているのか?

「いや、一人で買い物に行きたいって言われたから、一緒に行くよって返事したら泣かれちゃって。そこに琴南さんから電話がきたから、俺もよくわかってない」

「買い物?とにかく、電話じゃ埒が明かないからそこへ行きます。今どこですか?」

「事務所に来てるんだけど」

「事務所のどこですか?」

「ラブミー部の部室にいるんだけど」

「わかりました。丁度よかったです」

その途端、部室のドアが荒々しく開いた。

俺も驚いたけど、蓮もキョーコちゃんも驚いてドアを見詰めていた。

驚いた拍子に、キョーコちゃんの涙も止まったようだった。

「ちょっとキョーコと二人にして下さい」

そして琴南さんに部室から追い出され、どうしてキョーコちゃんが泣き出したのかと首をひねってしまった。

蓮も同様のようで、何か考え込んでいた。

5分もしない内に琴南さんがドアから出てきた。

「今からキョーコと買い物に行ってきます。すぐに戻りますから」

そう言って琴南さんは、キョーコちゃんを振り返って「行くわよ」と声をかけていた。

「どうして泣いてたの?」

蓮が部室から出てきたキョーコちゃんに問いかけた。

「察して下さいよ」

キョーコちゃんの代わりに、琴南さんが答えた。

「そちらの時間はどれぐらいあります?」

琴南さんに問われて、時計を見た。

「20分はあるよ」

「十分です。そうですね、ヒントを差し上げます。欲しいものは、男性とは一緒に行けなくて、薬局やコンビニやスーパーでも買えるものです。行ってきます」

それだけ告げて、琴南さんは彼キョーコちゃんをを引っ張って走って行った。

薬局やコンビニやスーパーでも買える?

それなら日用品ってところか?

男性とは一緒に行けない?

つまり下着のように、恥ずかしいと思えるものってことか?

キョーコちゃんが恥ずかしがるような日用品…?

「何だったんでしょうね?」

俺の横で首をひねっていた蓮が呟いた。

「お前ホントにわからないのか?」

「思い当たりませんね。薬はコンビニやスーパーにはないでしょう?男と一緒に行けないっていうのがわかりません」

ドリンク剤なら、コンビニやスーパーにもお店によっては置いてあるかもしれない。

男と一緒では駄目だというものなら、一つだけ思い当たるものがあった。

「今度キョーコちゃんが一人で買い物に行きたいって言い出したら、マリアちゃんか琴南さんを呼ぶからな?」

俺の予想が間違ってないなら、一か月ぐらいしたらまたキョーコちゃんは一人で買い物に行きたいと言うはずだ。

「それはかまいませんけど、社さんや俺じゃあどうして駄目なんです?」

こいつホントにわからないのか?

「例えばキョーコちゃんが下着を買いたいって言っても、お前はついて行くのか?」

「一人で行かせる方が危ないでしょう?」

真顔で告げられて、こいつならキョーコちゃんの記憶が戻っても、ついて行きそうだと思ってしまった。

「お前は平気でも、キョーコちゃんは平気じゃないんだよ。だから女の子にはそういう買い物もあるってことだよ」

「スーパーでも買えるって言ってましたよね?だったらどうして食材注文する時に、一緒に頼まないんでしょうね?」

「お前の目に触れて欲しくないからだろ」

「わかりません」

「こんなところで鈍くならなくていいんだよ。キョーコちゃんも可哀想に」

小さく呟いたのが聞こえていたようで、蓮はおもしろくなさそうな顔をしていた。

変なところで鋭いくせに、こんなところで鈍いんだから……

器用なんだか不器用なんだかわからない奴だよ。

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