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それは社長のため2

奏江

「お願い、琴南さん」

真剣な顔して、頭を下げられたって…

「土下座でも何でもするから、考え直して」

別に土下座して欲しいわけでもないのですよ。

そりゃあ、社さんにしたら、一日も早く心の平穏を手に入れたいんでしょうけど、あの人と親友じゃあ、纏まったところで、社さんは振り回されると思いますよ?

まぁ纏まってくれたら、私のイライラはおさまって、肌の調子はよくなるかもしれないわねぇ~

でも、どっちみち時間の問題でしょ?

片や自覚なしとはいえ、どっちも相手が好きで、芸能界一いい男の称号をお持ちなんですから、あの人が本気出せば落とせるでしょうに。

私にしたら、下手に手出しして睨まれるような状況なんて作りたくないんですよ、社さん。

つらつらと、先日のことを思い出しながら、目の前で妙に落ち着かなさそうに座っている親友を見つめていた。

これは……心配しなくても社長の思惑通り進展してる話でも、聞けるのかしらねぇ~

「あのね、モー子さん」

もじもじ恥じらいながら、意を決したように、親友が口を開いた。

「なぁに?」

「えっと…」

名前を呼んだっきり、後が続かない親友に、イライラしてしまう。

「も~じれったいわね。言いたいことがあるなら、さっさと言いなさいよ」

「社さんの事なんだけど」

え?敦賀さんの話じゃなかったの?

「社さんがどうかしたの?」

「社さんはとっても良い人だと思うわよ?」

「それが何?」

誰も悪い人だなんて、言った記憶はないわよ?

「敏腕マネージャーだし、優しいし、気配りもさりげなくて、頼れる人よね」

何?この子。急に社さんをほめちぎり出して。

まさか……社さんを好きだとか、言いだすんじゃないでしょうね?

「それで?」

「だからね、モー子さんには飛鷹君がいるのはわかってるんだけど、社さんだって、素敵な人よ?」

「は?」

どうしてここで、飛鷹君が出てくるの?

「だから一蹴しないで、ちゃんと考えてみて欲しいの」

「何のこと?」

考えるって何?

「社さんに、交際申し込まれてるんでしょ?」

「どういうこと?」

「あれ?私はマリアちゃんから聞いたんだけど……事務所で噂になってるみたいよ?違うの?」

「申し込まれた記憶なんてないわよ」

一体どんな噂なのよ!

どうやって、火もないのに、煙がたつっていうのよ!

それより、無責任な噂流した馬鹿野郎は、どこのどいつよ!

「まさか!モー子さん、ラブミー部員だから、耳が告白を受け付けなかったのね!」

「も~そんなわけないでしょ~!」





あ~も~疲れる。

叫び過ぎて、喉が痛いわ。

全く…私は女優なのに、嗄れ声しか出なくなったらどうするのよ。

後でのど飴でも買わないと…

のど飴とはいえ、カロリーあるのよ!

私が太ったらどうしてくれるのよ!

「あ、琴南さん、社長が呼んでたよ」

親友がいなくなってぐったりしてた私に、椹さんから電話が来た。

『社長が呼んでる』という一言に、とてつもなく嫌な予感がする。

無視して帰りたいわ……

でも、今日行かなくても、また呼ばれるんだから……

嫌々ながらも、社長室に向った。

「やぁ、琴南君、頑張ってるそうじゃないか」

頑張るって何を?

「今度は何ですか?」

「いまいち君だけが乗り気でなさそうだったから、君がやる気になってくれる特別ボーナスを思いついたんだよ」

私の顔を見て、嬉しそうに笑う社長が考えたことなんて、絶対ロクなことじゃないわよね。

「ラブミー部を卒業させてくれるとでもおっしゃるんですか?」

そうよ、ラブミー部の卒業が特別ボーナスなら、社長に協力してもいいわね。

「ぶ~それは駄目」

ラブミー部を卒業させてくれないなら、興味ないわよ。

特別ボーナスなんて言っても、主任や社さんみたいに、1か月の有給が欲しいわけでもないし。

まだ現金でもらえるなら、考える余地はあるんだけど。

社長が考えた特別ボーナスなんて、聞きたくないわ。

聞いちゃ駄目って何かが告げてるわ。

「それじゃあ失礼します」

そのまま社長室を出ようとした私の背中に、声をかけられた。

「聞きたくないのかね?」

「私には関係ありません」

「え~ここはちゃんと聞いてくれないと!聞いてくれないなら、一生ラブミー部を卒業させないぞ」

なんで、子供みたいに駄々こねるのよ。

一生ラブミー部を卒業させてくれないなんて、冗談じゃないわ!

「じゃあ、お伺いします」

かなり嫌々だったけど、社長の言葉を待った。

「琴南君が、頑張ってくれた暁には、社との交際宣言から、結婚披露宴まで、俺がプロデュースしてやろう。どうだ?」

やっぱり…だから聞くの嫌だったのよ!

結局社長って、暇だから何でもプロデュースしたいのね。

「何で社さんなんですか」

「今、事務所でかなりの噂になってるぞ?」

さぁ素直に話せとばかりに、笑顔が語っているように見えるのは、私の気のせいではないわよね。

「そんな事実はありません」

「そうなのか~ま~社が相手でなくても、君の時もちゃんと俺がプロデュースしてやるからな。だから頑張ってくれたまえ」

どうしても社長のプロデュースから逃れさせてくれないの?

相手もいないけど、冗談じゃないわよ。

「一つ伺いますけど」

一度言葉を切って社長を見れば、嬉しそうに身を乗り出していた。

「特別ボーナスって、私が希望することは出来ないんですか?」

「お?やる気になってきたか?」

「社長が私の希望を叶えて下さるなら。あぁ、勿論、ラブミー部を卒業させろとか言いませんし、予算もかかりません」

「ほ~なんだ?」

社長は意外そうな顔をしていた。

「先に確約してくれないと言えません。一筆書いてください。私が不正をしないように、白紙を2枚下さい。それと椹主任を呼んで下さい」

社長室に入って来た椹さんに、私が紙に書くことを見ていてもらうように頼んだ。

そして社長には背を向けてもらっている間に、望むことを紙の半分から下に記入した。

もう1枚の紙を半分に折って、記入部分が隠れるように挟み、そのまま文字が読めないように、記入部分を小さく折りたたんだ。

「確かに予算がかからないし、ラブミー部を卒業させろという内容でないことは、主任が保証してくれますよね?」

「あ…あぁ」

椹さんに念を押すと、多少顔を引きつらせながらも、頷いてくれた。

「では、ここに、社長の一筆を下さい。『以下のことを認める』と。書いてくださったら、私の特別ボーナスがかかってますから、それはもう、あの2人が1日も早く纏まるように頑張らせて頂きます」

「よし、わかった」

社長は嬉々として一筆したためてくれた。

「ではこの紙を広げて、コピーを2枚お願いします。1枚は社長に、1枚は椹さんに、1枚は私が保管します」

社長の秘書に頼んでコピーをとってもらい、社長と椹さんに1枚ずつ紙を手渡した。

「それでは失礼します」

社長室を出て、折りたたんだ跡のある紙を見つめた。

『私、琴南奏江が男性とお付き合いすることになろうとも、社長のプロデュースは一切辞退させて頂きます』

自然に纏まるのなんて待ってられないわ!

私の肌の為にも、特別ボーナスの為にも、けしかけるわよ!

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