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君恋ふる24



「京子ちゃ~ん」

離れた所からキョーコちゃんを呼ぶ声がした。

手を振っている3人組に気付いて、キョーコちゃんも笑顔を浮かべている。

え?キョーコちゃんの知り合い?

いつもならすぐに蓮を仰ぎ見るキョーコちゃんなのに、今は駆けよってくる彼等を見つめていた。

「おはようございます。ブリッジロックの石橋光です。こっちが石橋慎一、こっちが石橋雄性です。初めまして敦賀さん」

「初めまして、敦賀蓮です」

「マネージャーの社です」

彼等の名前を聞いて、LMEのタレントだと思い出した。

キョーコちゃんとは同じタレント部繋がりの知り合いなのか?

蓮は知ってたんだろうかと思って視線を向ければ、蓮も不思議そうな顔をしてキョーコちゃんを見つめていた。

「どう?あれから何か少しでも思い出した?」

記憶の話になるとキョーコちゃんの顔が陰った。

「ごめんね。いやなこと聞いちゃった?」

3人組の中でも一番背の低い、石橋光と名乗った彼が聞いた。

キョーコちゃんはフルフルと首を横に振った。

「大丈夫です」

キョーコちゃんに天使の頬笑みに、彼等は頬を赤く染めていた。

えーっと…何も聞いてないけど、彼等も馬の骨なのか?

「あ、京子ちゃん、見たよ」

「俺も見たよ」

「可愛かったよ。あれ、どこで撮ったの?」

ブリッジロックの3人が口々に言うけど、話が見えない。

キョーコちゃんは付き人以外の仕事はしてない筈だけど……

キョーコちゃんもわからないようで、蓮を仰ぎ見ていた。

こういう時自然に蓮を頼ってるキョーコちゃんを見ると、いい傾向だと嬉しくなってしまう。

話が見えてない俺達に気付いた彼らが顔を見合わせ、石橋慎一君が携帯をポチポチ操作しはじめた。

他の二人も、石橋慎一君の携帯を覗きこんでいた。

「百聞は一見にしかず」

笑って告げる石橋雄生君に、うなずく石橋光君。

話の流れからして、キョーコちゃんに関するものなんだろうけど、思い当たるものは何もなかった。

不安そうなキョーコちゃんは、いつの間にか蓮の上着の裾を掴んでいた。

これ、付き人になってからのキョーコちゃんの癖なんだよね。

これがまた可愛いんだ。

以前は見られなかった仕草に、蓮とキョーコちゃんの距離が縮まっている実感がわく。

蓮もこのキョーコちゃんの癖が出ると、安心させるように微笑むんだよね。

その光景はラブラブカップルそのものなんだけど……これで先輩後輩のままってどうなんだよ!

「これこれ。これ京子ちゃんでしょ?」

そういって差し出された携帯の画面を、蓮とキョーコちゃんと一緒に覗きこんだ。

画面の中で走っているのは確かにキョーコちゃんだった。

くるりと画面に振り向いて、天使の頬笑みを浮かべてキョーコちゃんが口を開いた。

「こんにちは、妖精さん」

画面を覗きこんでいたキョーコちゃんは、真っ赤になっていた。

俺はつい最近のこの光景を見た時のことを思い出していた。


*  *  *

「すご~い。きれ~」

咲き乱れる薔薇の中で、キョーコちゃんはすごくはしゃいでいた。

「こんな素敵な場所でのロケなんて、お仕事はかどっちゃいますね」

どこか夢見心地ではしゃぐキョーコちゃんを、スタッフも、蓮の共演者も、暖かく見つめていた。

最初は、蓮の付き人にキョーコちゃんがなったことで、女性スタッフや、女優さんから剣呑な雰囲気が漂ってきていたけど、蓮の共演女優に見とれては、うっとりと「綺麗…」なんて呟かれて、スタイリストの仕事ぶりに見とれては、「魔法使いみたい…」なんて呟かれては、まんざらでもないらしく、その後は一変してみんながキョーコちゃんを可愛がるようになった。

勿論男性スタッフや共演俳優は、キョーコちゃんに群がる馬の骨となっていた。

準備が整った蓮に気付いたキョーコちゃんは、嬉しそうに蓮の元へ駆けよって行った。

「敦賀さん、こんなに素敵なところでロケなんて、凄いです」

はしゃぐキョーコちゃんを蓮は優しく見つめていた。

蓮が何かキョーコちゃんに告げた言葉は、小さな声で、俺には聞こえてこなかった。

「そうなんです~」

キョーコちゃんの弾んだ声に、俺までなんだか楽しくなってきた。

少し離れて見てると、あの二人はまるっきりデートしてるみたいだよ。

二人の周囲がパルテルカラーに彩られて見えた。

何かに気付いたキョーコちゃんが駆けだした。

ゆっくりと蓮に近づいて問いかけた。

「どうしたんだ?キョーコちゃん」

「あれですよ」

指された方には小さな虹が見えていた。

「ほら、敦賀さん、虹の向こうに行けましたよ」

そうしてはしゃぐキョーコちゃんに、笑みがこぼれた。

「こっちから見たら虹の向こう側って、敦賀さんの方なんですね」

キョーコちゃんは少し考え込んで、天使の頬笑みを浮かべた。

「こんにちは、妖精さん」

蓮は無表情で固まっていた。

ふと背後を振り返ると、スタッフも、共演者も、みんなキョーコちゃんの頬笑みに、メロメロになっていた。

かくいう俺も不意打ちくらって、一緒に赤面してたんだけど……

*  *  *


「恥ずかしい…」

ふと我に返ると、キョーコちゃんは真っ赤になって俯いていた。

「恥ずかしがらなくても、すごく可愛いよ」

「ホントですか?」

ブリッジロックの言葉に、涙目で恥じらって上目づかいで訊ねるキョーコちゃんに、5人揃って釘づけになった。

「前にも言ったけど、俺らで出来ることがあったら何でも遠慮しないで言ってね?京子ちゃんの力になりたいんだ」

そんな言葉を残して、石橋君達は立ち去って行った。

心配になって蓮を見ると、不機嫌なのを隠すかのように煌びやかに笑いかけられた。

この笑顔が怖い……

それにしても、キョーコちゃんは彼等といつの間に知り合ったんだろう……

キョーコちゃんに視線を向けると、キョーコちゃんは蓮の上着の袖をつんつん引っ張っていた。

「どうしたの?」

蓮は不機嫌さを押し隠してキョーコちゃんに問いかけた。

キョーコちゃんは怯えたような顔で告げた。

「どうして怒ってらっしゃるんですか?私何かしましたか?」

キョーコちゃん、相変わらず蓮の機嫌が悪いことには敏感なんだね……

キョーコちゃんは、目に涙を浮かべて蓮を見上げていた。

「怒ってないよ」

蓮が苦笑しながら言った。

優しく微笑んで告げられた蓮の言葉に、キョーコちゃんはホッとしたようだった。

「彼らとはどういう関係なの?」

「私ブリッジロックのみなさんの番組に着ぐるみ着て出てたそうなんです。この前モー子さんに連れて行ってもらって、見学してたんですけど、何も思い出せなくて………」

俺の言葉に、キョーコちゃんは素直に答えてくれた。

『着ぐるみ』という単語が、俺の記憶に引っかかった。

チラリと蓮を見ると、蓮にも何か思い当たる節がありそうだった。

「どうかしましたか?」

俺たちの反応を訝しんで、キョーコちゃんが聞いてきた。

「着ぐるみって、何の着ぐるみ?」

「『坊』って名前の鶏らしいですよ」

まさかという思いが、やっぱりという思いに変わる。

俺も驚いたけど、蓮はもっと衝撃を受けているようだった。

呆然とする蓮に、何と言葉をかけるべきか悩んでいる俺を他所に、明らかに顔色が悪く見える蓮を心配して、キョーコちゃんは泣きそうになっていた。

着ぐるみを着たキョーコちゃんと蓮の間に何があったのか、俺は知らない。

二人にとってその思い出がマイナスにならないように祈るだけだった。

23へ   つづく

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