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はじめの一歩

先月の22日に、私がブログを始めてから今日も晴れさんに頂いたコメントが、丁度100個目だったので、ささやかなお礼に、「リクエストにお応えしたいと思うのですけど、何か私が書けそうなものがあるでしょうか?」と伺いました。

今日も晴れさんからのリクエストは、「蓮キョと子犬で何かをお願いします」とのことだったので、頑張ってみました。

今日も晴れさんに捧げます。

「いや~ん、かわい~」

ラブミー部の部室に近づくと、語尾にハートが付いているような、ハイテンションになった愛しい彼女の声が聞こえてきた。

今度はどんなメルヘンチックなものを見ているんだろうか。

「いいなぁ~欲しいなぁ~」

ノブに手をかけた時に聞こえてきたその言葉に、ピクリと反応してしまった。

長い片想いの末に、ようやく手に入れた愛しい彼女が欲しがっているもの。

それはとても興味がわいてきた。

「でも…かえないし……」

少し沈んだ彼女の声に、胸を突かれた。

俺はいつだって彼女に甘えて欲しいと思っているのに、付き合いだしてからも彼女は俺に遠慮をしている。

欲しいと一言俺に告げてくれれば、どんなものだって喜んでプレゼントするのに。

ねぇ、俺って、そんなに甲斐性がなさそうなのかな?

君の望みを言って欲しいよ。

「何が欲しいの?キョーコが欲しいものなら、何でも買ってあげるよ?」

「え?敦賀さん?」

彼女は慌てて携帯を閉じた。

そんなに俺には言えないものなのか?

「キョーコが欲しいものは、隠さないといけないようなものなの?」

じっと見詰めると、彼女の視線は、せわしなくあちこちに注がれて、そんな様子さえ面白くなかった。

ねぇ、せっかく二人でいるのに、君はどこを見ているの?

例え壁であれ、君の瞳が俺を素通りしていくのは嬉しくないんだけど?

「言って?」

視線の先に回り込んだら、彼女は黙って俯いた。

そんな態度をとられて、つかつかと彼女に歩み寄り、彼女のアゴを持ち上げて、俺の顔を見させようとした。

俺から視線を外す彼女が、面白くなかった。

彼女の目を片手で覆い、視界を遮ると、案の定抗議の声が上がった。

「敦賀さん、止めて下さい!」

そっと覆っていた手を外して、彼女を見つめた。

そして、彼女が弱い例の手を使う。

彼女曰く、背後に子犬を3匹程引きつれて哀願するような目で彼女を見つめた。

「話してくれないの?」

途端に彼女の目が見開かれた。

口元をわなわなと震わせて、がっくりと肩落としたように、彼女はそっと携帯を差し出した。

「これです」

画像がかなり小さいけど、どうやら子犬のようだ。

「欲しがっていたのは、子犬?」

訊ねると、彼女はコクンと頷いた。

「すごく可愛いじゃないですか。特にこの、1匹だけ逆を向いてる白い子が欲しくて……でも、飼えないから……」

彼女はシュンと俯いてしまった。

『買えない』じゃなくて、『飼えない』だったのか……

確かに彼女は、だるまやさんに下宿しているし、俺のところもマンションで、ペットは飼えない。

ペット可のマンションに引越したら、飼えるかな…

そんなことを考えていたら、彼女が探るように見つめてきた。

「だからって、お引っ越しとか考えないで下さいね?」

お見通しか……

カインとセツとして連れ立っていた頃にやり過ぎたせいで、パターンを読まれているのかもしれない。

「どうしても?」

例の手を使ってみたけど、彼女は動じなかった。

「どうして引っ越ししたら駄目なの?ペット可のマンションなら、この子と暮らせるよ?」

「だって…敦賀さんは、お忙しいじゃないですか。だから、わんちゃんも寂しがっちゃうから、可哀想です」

スケジュールの合間を縫っての短い逢瀬に、彼女も寂しいと思ってくれているんだろうか。

犬でもいれば、俺も彼女も寂しさがまぎれるかもしれない。

「だからこの子が寂しくないようにキョーコが構いに来てくれたら…」

「駄目です」

「一緒に暮らしてもいいんだよ?」

深く考えずに口にしたけれど、一緒に暮らし始めるいい理由になるかもしれない。

「破廉恥です!」

バッサリ切り捨てられて、落ち込んだ。

ラブミー部員の彼女が、俺と付き合う事を承諾してくれたのは奇跡のようだと今でも思う。

でも、彼女は、俺が想うように俺の事を想ってくれていないんじゃないのか?

俺が「好きだ」と、「付き合って欲しい」と言ったから、先輩の言葉だから従っているんじゃないのか?

次々と不安が押し寄せてきた。

「どうしても駄目?」

「駄目って言ったら、駄目なんです!だって…敦賀さんのあのお部屋は…何物にも代えがたい思い出があるんですから!」

今…なんて……?

「キョーコ?」

暗い考えに浸って、鬱々となりかけた俺を、一瞬で明るい場所へ引っ張り上げてしまった彼女は、自分の言葉を思い出して、真っ赤になって俯いてしまった。

滅多に聞けない彼女からの愛の告白を聞けて、嬉しかった。





彼女には反対されたけど、どうにかして彼女の希望を叶えたいとも思った。

俺自身が犬なんて飼ったことがないし、将来的な話だとしても、思いついた時に勉強しておく方がいいだろうと、暇な時間にはネットで子犬のしつけ方を検索するようになった。

『飼い主が犬の体に自由に触れることができなければスキンシップができず、―――――触れられることに慣らしておくのも大切です』

なるほど……

ん?

触れられる事に慣らす?

カインとセツとして過ごしていた時の方が、恋人同士になった今よりもよっぽどスキンシップを取っていたと思う。

晴れてお付き合いというものを始めた愛しい彼女は、手をつないだだけでも赤面してしまう。

キスをしようとすればその雰囲気だけで一瞬固まった後、恥じらって逃げようとしてしまう。

『―――――自由に触れることができれば、愛犬との信頼関係が深まり、病気の早期発見にもつながることがあるのです』

そうだ!

乳ガンなんかは、パートナーが最初に気付かなければ失格だと言われるし。

もしかしなくても、子犬との信頼関係を深めるということは、彼女との関係にも当てはめられるんじゃないのか?

そのことに気付いた俺は、尚更熱心に勉強するようになった。





『ます、飼い主はイスに座ります。そして―――――犬は緊張していますから、優しく「大丈夫だよ」などと声をかけてあげると更に良いです』

食後のコーヒーを入れに行ったキョーコが戻って来る前に、昨日読んだ部分を反芻していた。

ソファに深く腰をかけ、俺の膝の間に彼女が座れるように、足を広げた。

キッチンから戻って来た彼女を強引に引き寄せて、俺の足の間に座らせた。

「危ないじゃないですか!」

彼女の抗議も聞き流し、がっちりと彼女のお腹を抱きしめた。

「離して下さい」

ホントに子犬みたいだ……

ネットで読んだ様に暴れる彼女に、思わず笑ってしまった。

「やだ」

わざと子供っぽく返事をすると、彼女は振りかえって、訝しそうに俺を見つめた。

「敦賀さん?」

「DVD見る間だけでいいから、ここにいて?」

「だって……その……」

耳まで赤くなった彼女に優しく囁いた。

「大丈夫。キョーコが嫌がる事はしないから。明日も頑張れるように、キョーコを充電させて欲しいだけだから」

しぶしぶといった感じで、彼女の抵抗はなくなった。

DVDを見終わるまでだったとはいえ、恋人同士になってから、こんなに長く彼女を腕に留めておけたのは、初めてだった。

『段々と犬も飼い主に身をゆだねてくるのがわかると思います―――――』

ネットに書いてあったように、彼女が大人しく身体を預けて来てくれる日が今から待ち遠しかった。

おわり   番外編へ
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