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君恋ふる38

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奏江

親友と待ち合わせしているラブミー部の部室に向う途中で、社さんとバッタリ会った。

「おはようござ…」

「いや~!!敦賀さん!」

社さんに挨拶をしている途中で聞こえてきた親友の悲鳴に、駆け出した。

何があったのよ!

私の後ろから、社さんも追いかけてきた。

「だれか!助けて!!」

何て事なの!

あの人なら、嫌がる女の子に無理強いしたりしないと、信用していたのに…赦せない!!

蹴り飛ばしてやる!

荒々しく部室のドアを開けた私の目に飛び込んできたのは、床に倒れている敦賀さんに取りすがって泣いている親友だった。

てっきり親友が敦賀さんに襲われているんだと思っていた私は、拍子抜けしてしまった。

疑ったりして、悪かったかしら……

そうよね。

もてる割に、好きな子に告白も出来ないヘタレな人なんだもの……私が誤解していたようなことなんて、有り得なかったのよ……

「蓮!ちょっとごめんね、琴南さん」

社さんが、入口で呆然と立っていた私を押しのけて、部室に駆け込んだ。

社さんが敦賀さんの様子を見ようとしているのに、親友は敦賀さんに取りすがって離れようとはしなかった。

「琴南さん、ごめん。ちょっとキョーコちゃんを…」

指示されて、やっと身体が動いた。

「キョーコ、ちょっとこっちに来てなさい」

「やだ、やだ!敦賀さん、敦賀さん!」

パニック状態の親友をなんとか羽交い絞めにして、敦賀さんから引き離した。

「大丈夫だから、ね?そんなに泣くと、敦賀さんが心配しちゃうわよ?」

「敦賀さんが…死ん…じゃったら…どうしよう……」

「大丈夫よ。しばらくしたら、きっと元気になるわよ」

震える親友を、ぎゅっと抱きしめた。

親友の耳には、私の言葉も届いていなかったかもしれない。

ふぇ~んと、小さな子供のように泣く親友を黙って抱きしめていた。

社さんが、あちこちに電話をかけて、しばらくすると松島主任が、何人か引きつれてやってきた。

仮眠出来る部屋に運ばれて、社長の主治医が呼ばれた。

親友は、敦賀さんが診察を受けている間、ずっと廊下で膝を抱えて座り込んでいた。

「このまま…目を…覚まさなかったら…」

しゃくりあげる親友にかける言葉がみつからなくて、どうすればいいのかも判らず、傍らに座り込んで、親友の肩を優しく何度も叩いた。

親友は、涙にぬれた瞳で私を見つめた。

その瞳に、女の私でもドキッとした。

「私…ずっと一緒にいたのに何も出来なくて……モー子さん…敦賀さんが…ずっと…目を覚まさなかったらどうしよう……」


「倒れるまで我慢してたんだったら、誰が傍にいようと変わらなかったわよ。社さんがいたからってこうならなかった保障はないわよ。それよりも、ずっと目を覚まさないなんてこと、あるわけないでしょ?敦賀さんのスケジュールは分刻みだって、あんただって話してたじゃない。ロケから帰ったばかりだったんでしょ?だったら疲れがたまってるんじゃない?ゆっくり寝たら、きっと元気になるわよ」

「ホント?」

親友を安心させたくて、頷いてみせた。

ホッとした顔を見せる親友の手を引っ張って立たせた。

「目が覚めた時、あんたがそんな顔してたら、敦賀さんに心配かけちゃうわよ?だからね?顔を洗いに行こ?」

小さく頷いて、親友は大人しくついてきた。

「今日、帰ったら、しばりつけてでもベッドに寝かせてあげなさいよ」

ほんのちょっとした冗談のつもりで告げただけだった。

「敦賀さんが床に一晩中座ってたことなんてロケに行く何日か前に一度あっただけよ?」

真面目な顔して告げる親友に、唖然とした。

何でこの子が一晩中床に座ってたとか知ってるわけ?

朝食を用意して運んだら、床に座り込んでた敦賀さんを見つけたとかいう話なのかしら?

「だから何度もそんなことさせるのは申し訳ないから、今は敦賀さんのベッドで寝てるもの」

もしかして、一緒に寝てるってことなの?

どうして?

付き合ってるってことなの?

聞いてないわよ!?

「あんた、敦賀さんと付き合ってるの?」

「付き合うってどういうこと?」

とっさに言葉は出て来なかった。

どう話せば、親友に問いたい意味が通じるだろうかと悩んでいると、心配そうに親友が覗きこんでた。

「モー子さん?私何かいけない事言ったの?」

「あんた、敦賀さんのベッドで寝てるって言ったわよね?どうしてそんなことになったの?」

これも付き人の仕事なんだとか言って、この子を言いくるめたんだったら、敦賀さんを蹴り飛ばしてやる!

「最初はね、ゲストルームで寝てたのよ?」

ゲストルーム?

同じマンションに住むって聞いてたけど、もしかしなくても、同居、ううん、同棲ってことだったの?

「でもね、毎晩怖い夢を見るから、眠れなくなって…敦賀さんが、床に一晩中座ってた時って、私をずっと抱きしめてくれてたの。敦賀さんの腕の中なら怖くなくて、安心して眠れたの。だから…私がお願いしたのよ?一緒に寝て下さいって。それからはずっと、敦賀さんのベッドで一緒に寝てるの」

私に説明している親友の顔は、まぎれも無く、恋する乙女の顔だった。

あんた、敦賀さんが好きなのね。

無理強いされたとかなんじゃなくて、よかったわ。

それにしてもこの子、いつから敦賀さんのこと好きだったのかしらね?

そういえば、この前会った時、王子様がどうとか言ってたわね。

無理矢理聞き出さなかったけど、きっとあの時には、そういう兆しはあったのね。

それにしても、この子が敦賀さんと毎晩一緒に寝てるですって?

もしかして、倒れたのはただの睡眠不足なんじゃ?

「あんたが敦賀さんと一緒に寝たいって言うならそれでいいけど、子供が出来ないように気をつけなさいね?あんたまだ記憶戻ってないんだし」

好きな子に告白も出来ないような人だから、まずあり得ないとは思ったけど、記憶がないだけに、この子はそういうこともわかってないだろう。

老婆心ながら言わずにはいられなかった。

「やだ、モー子さんったら。こうのとりさんは、結婚もしてない私のところに、赤ちゃん連れてきてくれたりはしないわよ?」

こうのとり…ね……

敦賀さんも大変ねぇ。

「もしもの話だけど、もしもこうのとりさんが、赤ちゃん連れて来てくれたらどうする?」

「もしも?もしもこうのとりさんが連れて来てくれたら、すごく嬉しい。だって、私に家族が出来るのよね?一人じゃなくなるもの。赤ちゃん欲しい」

親友の言葉に胸を突かれた。

いくら周りに人がいても、あんたは寂しかったのね。

この子の気持ちが決まったなら、もう何も問題はないじゃない。

敦賀さんも男らしくきっぱり言えばいいのに。

じれったいわねぇ。

「ねぇ、モー子さん、もしもこうのとりが赤ちゃん連れて来てくれるなら、パパは誰かしら?」

誰って……どう言えばいいのかしら……

「あんたは誰の赤ちゃんだったら嬉しいの?」

私の質問に真っ赤になった親友は、とても可愛かった。

この顔、絶対今敦賀さんを想い浮べたわね?

「あんたが赤ちゃんのパパになって欲しい人にお願いしたら、結婚してなくてもこうのとりさんは赤ちゃん連れて来てくれるわよ?きっとね」

少しの意地悪で告げた言葉に、親友は嬉しそうに笑った。

つづく

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