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ACT.145 続き妄想

本誌を読んですごくショックを受けました。

以下、これぐらいはやって欲しいという願望妄想です。

なんでもどんと来いの方のみお付き合い下さいませ。





許せなかった。

「何をしている」と二人に割って入るつもりだった。

俺が二人を引き離す前に、ドカッという音がした。

「いって~」

不破が目に涙を浮かべて足を押さえていた。

「思いっきりやりやがったな~何すんだよ!」

そしてボカッという音がした。

「お前、よくも蹴りの上に殴ったな!」

「あんたが悪いんでしょうが」

静かに怒り狂っているような低い彼女の声だった。

「人の職場にこんないたずらしに来る暇があるんだったら、自分の仕事しなさいよ」

「忙しい中わざわざお前を祝いに来てやったのに無駄足だったから、哀れなお前を慰めてやったんじゃないかよ」

もう一度ドカッという音がした。

「いて~な」

「私は一生独りで強く賢くたくましく生きていくって言ってるでしょ」

「寂しいやつ」

「あんたに何と思われようと、何ともないわよ。金輪際仕事の邪魔はしないでよね」

そして彼女は、痛くて蹲っている不破を振り返ることはなかった。

監督や共演者、スタッフに騒動を謝って回り、その後の撮影も黙々とこなしていた。

ただ、出待ちや休憩中は明らかに彼女の口数は減っていた。

そんな彼女の様子が気にはなったが、事務所の先輩という立場では何も出来ず、社さんに出来るだけ彼女についていてもらうようにお願いした。




「お疲れ様でした」

撮影も滞りなく終え、着がえをすませて彼女の楽屋に向かった。

ノックをしたけど返事もなく、楽屋は灯りもついていなかった。

もう帰ったんだろうか・・・・・・。

それでも彼女のことが気にかかり、まだどこかにいるんじゃないかと、社さんと別れて探し回った。

自分が逃げ込みそうな人気のない場所を探し回ると、彼女の声が聞こえてきた。

「大丈夫、大丈夫」

繰り返し聞こえてくる言葉はそれだけで、まるで呪文のようだと思った。

「最上さん?」

声をかけると彼女はハッとして立ち上がった。

「敦賀さん、お疲れ様です」

いつものように礼儀正しく挨拶をされた。

ついさっきまで辛そうに「大丈夫」と繰り返していたとは思えないほど明るい声だった。

「最上さん?もう撮影は終わったんだからいいんだよ?」

そう言ってみても、彼女は笑顔を張り付けたままだった。

ただ、握りしめた指先は力を入れすぎて白くなっていて、肩はかすかに震えていた。

「もういいんだよ?無理しなくて」

彼女は黙って俺を見ていた。

「『京子』の時間は終わったんだよ?『最上キョーコ』に戻っておいで」

そう言った途端に、彼女の目から涙がこぼれおちた。

やっぱりかつて彼女にお説教した言葉―――『どんな辛いことがあっても、一瞬で気持ちを切り替え乗り切るのがプロ。他人に死ぬまで晒さないのが一流だ』―――が効いていたんだと思った。

彼女はボロボロ泣き出した。

「よく、頑張ったね」

こんな言葉しか出てこなかった。

我ながら嫌になる。

「ごめんね、傍にいたのに何も出来なくて」

彼女はフルフルと首を横にふった。

「敦賀さんが・・・・・謝られることでは・・・・・ありません。また現場に・・・・・ご迷惑かけて・・・・・私・・・・・」

彼女がしゃくりあげながら言った。

「君が悪いわけじゃないだろ?」

「でも・・・・・」

彼女の心の傷が少しでも癒されるようにもっと違う事を言いたいのに、言葉が出ない。

「お腹すいてない?最上さん今日は食事あんまり食べてなかったよね?」

「敦賀さんに食事のことをいわれるのはおかしな感じですね」

彼女が笑った。

その笑顔に心がフワリと軽くなった。




「送っていくから、帰ろうか」

楽屋に戻る途中で、スタッフの話し声が聞こえてきた。

「それにしてもびっくりしちゃうわよね~いきなりキスされてるんだもん」

その言葉に彼女の足が止まった。

「最上さん?」

様子がおかしいと顔をのぞき込んだら、唇を強くかみしめて涙をこらえていた。

「駄目だよ。そんなに強く噛んだら傷になる」

その一言にハッとしたように彼女は顔を上げた。

一瞬俺の顔を見てまた俯いた。

そして、手の甲で唇をこすりはじめた。

「最上さん?」

慌てて彼女の手をとって止めた。

「だって・・・・・だって・・・・・」

また感情が高ぶってきたのか、彼女は涙をボロボロこぼしていた。

さっきのスタッフに聞かれると思い、少し人気のない方に移動した。

「最上さん?」

「だって・・・・・唇に感触が残ってて気持ち悪いんです」

吐き出すように彼女が言った。

そんな彼女が痛々しくて・・・・・

メルヘン好きな彼女だからきっと今日のキスは不本意なものだったんだろうと思う。

傍にいながら止められなかった自分のふがいなさに腹立たしくなる。

そっと真綿でくるむように彼女を抱きしめた。

「大丈夫だよ。君が心から望んだ人とするその時が、君のファーストキスだよ。今日のことは犬にかまれたようなものだよ。君が泣く必要はないよ」

さっき彼女が口にした呪文のように「大丈夫」と繰り返した。

彼女は大人しく腕の中にとどまって、「大丈夫」と言う度にコクリと頷いた。




「ほんとなら消毒するのが一番なんだけどね」

俺の言葉に彼女はキョトンとしていた。

「わからない?」

彼女が不思議そうにしているので、人差し指を自分の唇にあて、その指で彼女の唇にチョンと触れた。

途端に彼女は真っ赤になって、俺の腕から飛び逃げた。

「な・・・・・なんてこと言うんですか」

「ん?俺は一般論を言っただけだよ?」

「ほぇ?」

彼女はポカンとしている。

「なんだ、して欲しかったの?お望みならいつでも消毒してあげるよ?」

「破廉恥です~!」

そう叫んで彼女は楽屋の方へ走って行った。

そこに社さんから電話がかかってきた。

「あぁ、社さん、見つけましたよ。最上さん今楽屋の方に走って行きましたから捕まえといて下さいね」

ちょっと前なら何を言っても顔を赤くすることなんてなかったのに、彼女の変化を思うと自然と顔がにやけてきて、にやけた顔を引き締めるために、ゆっくりと楽屋へ向かった。
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