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君恋ふる39

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キョーコ

「あ、キョーコちゃん。蓮、目を覚ましたよ」

廊下に出てきた社さんの言葉を聞いて、部屋の中に駆け込んだ。

長椅子に腰掛ける敦賀さんを見て、ホッとして涙があふれてきた。

「し…心配したんです…すごく…このまま…目が…覚めなかったら…どうしよう…かと…」

敦賀さんが長椅子から立ち上がったのを見て、慌てて駆け寄って縋りついた。

「ダメです!まだ寝てないと」

「もう大丈夫だから。心配かけてごめんね」

敦賀さんは、私の頭をポンポンと軽く叩いて、優しく笑ってくれた。

「倒れたのに…大丈夫なはずないじゃないですか!」

「もう大丈夫になったから」

こんなに心配してるのに、どうして敦賀さんはわかってくれないの?

「ダメです!横になって下さい!」

「最上君、ちょっと社と、琴南君に話があるから、蓮に付き添っていてくれるか?最低1時間はここで蓮に仮眠をとらせてくれ」

「しゃ…」

「わかりました」

みんなの背中を見送っていると、敦賀さんがため息をついた。

仕方ないという感じで、敦賀さんが長椅子に横になった。

敦賀さんが目を閉じたのを確認して、傍の椅子に腰かけた。

敦賀さんは、一体なんの病気なのかしら……

誰も何も言ってくれなかったけど、もしかして重い病気だったの?

敦賀さん、眠っているのよね?

敦賀さんが倒れた時のことを思い出して、怖くなった。

ふらふらと長椅子に近寄って、跪いて敦賀さんの手を握った。

暖かい……

両手で祈るように敦賀さんの手を包み込むと、敦賀さんが驚いたように私の顔を見つめていた。

やだ…敦賀さん、起きてたの?

どうしよう…変に思われたんじゃないかしら……

「キョーコちゃん?」

訝しそうに名前を呼ばれて、余計うろたえてしまった。

「あの…えっと…起してしまいました?」

「いや、社長の言いつけだから、眠ろうと思って、目を閉じていただけで、まだ眠ってなかったよ」

「えっと…その…あ!そう言えば、敦賀さんは枕がないと眠れないんでしたよね。私の膝でよろしければお貸しします」

敦賀さんが、びっくりして起き上がろうとしたので、さっさと頭がくる部分に腰をおろした。

「寝心地の保証は出来ませんけど、どうぞ」

敦賀さんは目を彷徨わせていたので、迷惑だったのかと心配になってしまった。

「私の膝じゃあダメですか?」

「そんなことないよ」

すぐに否定してもらって、嬉しかった。

ニッコリ笑って膝を叩けば、敦賀さんは恐る恐るといった感じに、私の膝を枕にした。

自分から言い出したこととはいえ、足がムズムズして居たたまれない……

それに仰向けに寝られると、下から顔を見上げられて、すごく恥ずかしい……

私の顔、絶対赤くなってるわよね…

「ひゃぅ」

敦賀さんが寝がえりをうって、思わず声が出てしまった。

「あのね、キョーコちゃん。やっぱり、いいよ」

起き上がろうとした敦賀さんの肩を上から抑えた。

「つい…ごめんなさい。ちゃんと枕になりますから、仮眠取って下さい」

敦賀さんが諦めたように目をつぶった。

「ひゃっ」

何気なく動かされた敦賀さんの手が、私の膝をかすめて、また声が出てしまった。

「あのね、キョーコちゃん」

「起きちゃダメです」

すぐに敦賀さんの肩を抑えた。

「びっくりしただけですから。ごめんなさ…」

敦賀さんのため息がくすぐったくて、思わず身をよじってしまった。

「やっぱりや…」

「ダメです!寝心地悪いのはわかりますけど、我慢して下さい。ちゃんと仮眠取ってください」

私の膝枕のせいで、敦賀さんが仮眠をとれないなんてことになったら……

「辛くない?」

敦賀さんが、身動きもせず目を閉じていたので、眠ってくれたのかなって安心していたら、5分もしない内に、敦賀さんから問いかけられた。

「大丈夫です。私でも、敦賀さんにしてあげられることがあるって思うと、すごく嬉しいんですよ?」

敦賀さんは、何か言いたげな視線を向けてきたけど、それ以上なにも言わず、黙って目を閉じた。

沈黙が訪れると、敦賀さんが倒れた時の事を思い出してしまった。

敦賀さんが倒れた時…すごく怖かった……

胸が苦しくなって…足下から地面が崩れたみたいで……

ほんの何日か離れていたロケでさえ、寂しくてたまらなかったのに……

ロケはお仕事が終わったら会えるけど、敦賀さんに万一のことがあったら…もう会えなくなるもの……

そっと敦賀さんの髪に触れてみた。

起しちゃうかしら。

でも、私は敦賀さんに頭を撫でてもらうのが好きだから……

ソロソロと、敦賀さんの真似をして、頭を撫でた。

髪サラサラ……

すごく気持ちいい手触り……

でも、なんだかどこかでこんな感じの髪にずっと触れていたような気がする…

敦賀さんに甘えて、頼りすぎだってわかってる……

でも…敦賀さんがいない毎日なんて考えたくない……

でも、気付いてしまった…

敦賀さんは、いつかは海の向こうへ帰る人だって…

敦賀さんが日本人じゃないって教えてくれた時、大きくなったコーンが私を守ってくれてるようで嬉しかったのに…

敦賀さんも、コーンのように、いつかは私を置いて帰ってしまう……

敦賀さんと、記憶を無くす前の私、どうしてただの先輩後輩だったんだろう……

特別だったらよかったのに………

そしたら、ずっと敦賀さんといられたかもしれないのに……

涙が我慢出来なくて零れ落ちた。

敦賀さんを起こしてしまうから泣いちゃいけないってわかってるのに、涙は我慢出来なくて……

「泣いてるの?」

敦賀さんが、仰向けに寝転んで、私の顔を見上げていた。

「ごめ…な…さ……起…して……した」

涙はとめどなく流れ落ちてきた。

敦賀さんは起き上がって、そっと涙を拭ってくれた。

「どうしたの?そんなに心配しなくても、俺は大丈夫だから、ね?」

なかなか泣きやまない私を、敦賀さんはそっと抱きしめてあやしてくれた。

暖かくて、心地よくて、安心出来るのに……

ずっとこの腕の中にいられないことに気付いてしまったの……

「唯の寝不足なんだからね?どうしたらいい?どうして欲しい?ごめんね、心配かけて」

「心配しました…だって…敦賀さんが…いなくなったら…きっと…私は歩けなくなってしまう…こんなの…敦賀さんには…重荷だってわかってるんです…でも…気付いてしまったから」

「何に気付いたの?」

「敦賀さんも…コーンのように…私を置いて…帰ってしまう人だって……ごめんなさい。敦賀さんは、記憶をなくした…後輩を…可哀想に思って…優しく…してくれているだけなのに……こんな…大それたこと……」

「何を聞いても怒らないから聞かせて?」

促されるままに、口を開いた。

「どうして…敦賀さ…んと…記憶を…無くす前の…私は…ただの…先輩後輩…だったんだろうって……特別だったら…ずっと…一緒に…いられたかも…しれないのにって……」

お願い……こんな大それたことを考える、私を嫌わないで……

「キョーコちゃんは俺とずっと一緒にいたいの?」

敦賀さんは、怒っているようには感じられなかった。

「どこへも行かないで……私を置いて行かないで……敦賀さんの傍にいたいんです!!」

敦賀さんの袖を、ぎゅっと握りしめていた。

「行かない…置いてなんて行けない。ずっと傍にいることを望んでくれるなら、置いてなんて行かない」

「ホント…ですか?」

私の言葉に、敦賀さんは頷いて、ぎゅっと抱きしめてくれた。

つづく

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ついに!

コメはじめましてですが、アメーバでは毎晩お邪魔してしまってすみません。
やきもきしてた2人もやっと成立しましたね。
こちらの超絶天然小悪魔のキョーコが大好きです。
これからの蓮は益々心配事が増えますね。もっともっと振り回される蓮がみたいです!

Re: ついに!

いらっしゃいませm(__)m
いつも構って下さってありがとうございますm(__)m
とっても嬉しいです≧▽≦
自分ではあまり意識してなかったので、そうなのかしらって悩んでしまいましたw
振りまわせるかはわかりませんけど、続きも頑張ります(^^ゞ
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