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よろずや探検記

「送って行くよ、最上さん」

ごく自然に、意中の女の子を誘う蓮に、思わずニヤついてしまった。

「私、寄りたいところがあるので」

キョーコちゃんは、蓮の気持ちを知らないので、しきりに申し訳ないと固辞していた。

そんな二人の押し問答に割って入り、頼まれても無いのに、蓮の援護射撃を駆って出た。

「だったら尚更送ってもらいなよ。もう暗くなってるから、女の子一人で出歩くなんて、危ないよ?」

「はぁ、じゃあ、お言葉に甘えます」

熱心に言い募った結果、キョーコちゃんの方が折れた。

「どこへ寄ればいい?」

「よろずやさんにお願い出来ますか?」

エンジンをかけながら蓮が問えば、キョーコちゃんが申し訳なさそうに答えた。

「何買うの?」

特に気になったわけじゃなかった。

ただの世間話のつもりで聞いただけだった。

「スリッパが欲しくて」

キョーコちゃんは、そんな俺の言葉にも返事をしてくれた。

「よろず屋さんにキョーコちゃんが好きそうな可愛いスリッパあるの?」

キョーコちゃん好みのスリッパなんて、よろず屋さんに置いてあっただろうかと、心配になった。

「他のお店に寄ろうか?」

蓮も心配して訊ねた。

「可愛くなくてもいいんです。今使ってるのは、もうボロボロなので」

結局最初の予定のまま、よろず屋へ向った。

俺も買いたいものがあるからと、キョーコちゃんに続いて車を降りたら、蓮までついてきた。

お前、俺がボディガードにならないと思ってるのか?

チラリと蓮に視線を向けると、並んで歩けるだけで嬉しそうな様子が隠しきれない、芸能界一いい男がいた。

「あ、俺ちょっと、あっち見てくる」

そんな様子が不憫に思えて、せめて二人きりにしてやろうと、適当な言いわけで離れたのに、キョーコちゃんがついてきていた。

「何があるんですか?」

「いや、ちょっと、あの…」

蓮にキョーコちゃんと二人きりの時間をあげようとしたなんて言えなくて、返事に困ってしまった。

「怪しいですね」

「最近野菜不足だからさ、青汁でも飲んでみようかなって思ったんだよ。キョーコちゃんに野菜不足だってバレたら、また怒られると思ってさ」

咄嗟に手に取ったものを、キョーコちゃんに掲げて見せた。

我ながら、なんて適当な言いわけなんだ…

「社さん、ご立派です」

上手く切り抜けられたようで、ホッとした。

キョーコちゃんは目を輝かせて俺を見て、蓮のことは睨みつけるように見つめた。

「何かな?その目は」

キョーコちゃんの、物申したそうな目に耐えかねたのか、蓮が口を開いた。

「敦賀さんも、カロリーなんとかばかりじゃなくて、社さんを見習ってはどうですか?」

キョーコちゃんに責められた蓮が、キラキラと音が出そうな笑顔で俺を見つめていた。

お前を貶めようとした訳じゃないんだって。

どうして気を利かせようとした俺が、責められるように見つめられるのか…

キョーコちゃんは俺達のやり取りには気付いていないのか、興味深そうに、棚を眺めていた。

「この辺は用がないので、来た事なかったんですけど、ビタミン剤とかもたくさん置いてあるんですね。あれ?これ何でしょう。これだけ1回分で売っているみたいですね。『大事な時の為に』って…試験とかの眠気対策とかでしょうか?」

ひぃ~キョーコちゃん、何を手に取って見てるの!?

それは、蓮ならともかく、キョーコちゃんには必要のないものだよ。

不思議そうに首を傾げて、俺たちの前に差し出すキョーコちゃんに、“それは男性が飲むものだよ”なんて教えられるはずもなく……

「最上さん、あっちにコスメがあるよ?興味ない?」

蓮が、さりげなく、キョーコちゃんを他の場所に誘導した。

「あります!」

口実に使った青汁を手にしたまま、化粧品に目を輝かせるキョーコちゃんについて行った。

「いつもはドラッグストアなんですよ。こうやって見るだけでも、幸せな気分になりますね。あっ、でも、敦賀さんをいつまでも引き止めておくのも申し訳ないですから、また後日ゆっくり見に来ます」

化粧品ぐらいで、幸せな気分になるというキョーコちゃんに、笑みがこぼれた。

心配しなくても、蓮ならキョーコちゃんの幸せそうな笑顔を見ただけで、幸せな気分になれるんだよ。

「あれ?さっきの薬、こんなところにもありますよ?お化粧品とどういう関係があるんでしょう?」

せっかく注意を逸らせたさっきの薬が、化粧品のコーナーにまで置いてあって、店の陳列に苦情を言いたくなった。

「スリッパは、向こうみたいだよ」

「あっ、はい」

しらじらしいぐらいに、唐突に指差してみたら、キョーコちゃんは気にした風も無く、スリッパの置いてある方へと歩いて行った。

「実用的なものばかりで、可愛いのないけどいいの?」

やっぱり、キョーコちゃんが好みそうなスリッパは、見当たらなかった。

「十分ですよ。普段使うものですから、逆に可愛いものだと、使い辛いです」

キョーコちゃんの言葉に、蓮が残念そうな顔をしていた。

「そういうもの?」

こいつ絶対プレゼントしようとか考えてたな?

「へぇ~靴もおいてあるんだ。これなんて、今俺がはいてるのと、見た目あんまり変わらないのに」

恋する蓮のためにも、さりげなさを装って、二人の傍を離れた。

なのにどうしてキョーコちゃんはついてくるんだろう……

「あ!貯金箱?可愛いですね、ペンギンさんですよ。口からコイン入れるんですね。どうやったらお口が開くんでしょうね。こっちのなんて、暗証番号入力するようになってますよ?必要なんでしょうか?」

背後にある貯金箱に興味を持ったようだったので、今度は黙って、そっと二人の傍を離れようとした。

「とられないようにじゃない?」

「でも、泥棒さんだったら、箱ごと持っていくんじゃないでしょうか?」

蓮とキョーコちゃんの会話を微笑ましく思いながら、ソロソロと移動していた時、キョーコちゃんが声を上げた。

「あっ!」

「えっ?」

思わず、反射的に振りかえってしまった。

「どうしてこんなところにお茶が?」

キョーコちゃんが、不思議そうにお茶のボトルを手に取った。

「お茶?」

蓮も不思議そうに、キョーコちゃんが手にしたボトルを覗きこんでいた。

靴に、貯金箱、更にお茶と、滅茶苦茶な陳列に、首を傾げてしまった。

「あれ?でも飲みモノではありませんって、書いてありますよ?こっちに吊るしてあるのはなんでしょうね?ペンライトより小さくて、私の掌にも収まっちゃいますね。これでツボでも押すんでしょうか?こっちは、大人の粗品?何でしょうね?」

ひぃ~どうして貯金箱の横に、こんないかがわしいコーナーがあるんだ!?

お茶のボトルの中身がなんだか気付いて、焦ってしまった。

「最上さん、お腹すかない?」

唐突に告げられた言葉に、キョーコちゃんが蓮を凝視していた。

「えっ?」

「なんだかお腹すいてきちゃって。このまま家に帰っても水しかないから、お腹すいてるのが俺だけなら、水でごまかせばいいか」

「何言ってらっしゃるんですか!ダメですよ!そんなのは。急いでお会計してきます」

蓮の言葉に、慌ててボトルを棚に戻したキョーコちゃんが、レジへと駆けて行った。

言いわけに使ったまま持ち歩いてた青汁を買うために、俺もレジへ向った。





「キョーコちゃん、さっき化粧品を見にゆっくり来るって言ってたけど、よろず屋さん、一人で行かない方がいいよ?」

「どうしてですか?」

唐突に告げた言葉に、キョーコちゃんは不思議そうに首を傾げていた。

まさか、いかがわしい商品が普通に置いてあるからとは言えなくて、言葉を探してしまった。

「俺も一人で行かない方がいいと思うよ」

キョーコちゃんは、運転する蓮の顔を後ろから不思議そうに覗きこんでいた。

「よろず屋さんって、結構ごちゃごちゃ品物が置いてあって、棚も天井の方まであったから、視界が悪いよね。最上さんも芸能人なんだから商品に隠れて何かあってもいけないし、用心するに越したことは無いよ」

蓮がニッコリ笑ってそつなく告げた。

「そうだよ。女の子一人じゃ危ないよ?だから絶対一人で行かないようにね」

「私みたいに、地味で色気のない女なんて、心配するようなことは何も起りませんよ」

キョーコちゃんのいつもの口癖が出た途端、車内の温度が下がった。

「何かあってからじゃ遅いんだよ?」

急に闇の蓮さんに変身されて、震えあがった俺が見たのは、固まったキョーコちゃんだった。

「わかってくれるよね?」

キョーコちゃんが、コクコクとぎこちなく頷くと、闇の蓮さんの気配が、綺麗に消え失せた。

キョーコちゃんも緊張が解けたようで、座席に深く腰掛けた。

「そういえば、さっきレジでもらったこれって何でしょうか。『女性をその気にさせる』って書いてあるんですよ。演技が上手くなる薬なんでしょうか」

思い出したように袋からゴソゴソ取り出して、俺に見せてくれた。

キョーコちゃんから受け取ったものを見て、顔が引きつった。

「そんな薬があるわけないよ」

「演技が上手くなるお薬なら、飲んでみようかと思ってたんですが……」

「よくわからないものを飲んで、体調崩したら大変だよ?」

それにこれは飲むものじゃないから!

「それもそうですね。演技が上手くなるなら興味があったんですけど……」

「キョーコちゃんは、こんなものに頼らなくても、十分演技が上手いよ!」

「そんな…まだまです」

褒められて、恥じらうキョーコちゃんが、可愛かった。

「演技の練習なら、いつでも付き合うから、そんな変な薬に頼らないで、俺を頼ってね?」

「でも、お忙しい敦賀さんにそんな…」

「頼ってくれるよね?それとも俺は頼りがいないかな?」

「そんなことありません!」

「じゃあ決まりだね。その薬は捨てること」

「わかりました。じゃあお買いものついでに捨ててきますので」

「最上さんに渡したら、こっそり捨てずにお守りのように持ち歩くかもしれないから、社さんに捨てて貰った方がいいよ」

差し出されたキョーコちゃんの手に薬を返そうとして、キョーコちゃんが持ち歩いてて万一ってことになってもいけないから、蓮の言い分には納得がいった。

「じゃあ俺が捨てておくね」

「なんだかゴミを押し付けて申し訳ありません」

キョーコちゃんが恐縮して謝った。

「気にしなくていいよ」

その後の車内は、蓮とキョーコちゃんの楽しそうな会話が弾んでいた。










7/1の会合に参加された皆様、宿題こんな感じでよろしかったでしょうか?

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