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続 はじめの一歩 番外編その1






蓮の愛しいキョーコちゃんを迎えに来たら、その時かかってきた電話のせいで、蓮が一気に不機嫌になった。

交際宣言をキョーコちゃんに迫っている蓮は、まるで捨てられた仔犬の様だ。

果してこの姿は、素なのか演技なのか……

マネージャーの俺でもわからない。

目の前の光景に、こっそりため息をついた。

俺、いつまでここにいたらいいんだろう……

もう一人で帰っちゃおうかな……

「不安なんて感じないぐらい、キョーコの愛で俺を満たして?」

蓮の甘ったるい言葉に、口の中から砂が零れ出た。

縋るような目で蓮に見つめられて、キョーコちゃんは真っ赤になっている。

初心なキョーコちゃんは可愛くて、蓮も愛しげに見つめている。

まったく……見てるこっちが恥ずかしいよ。

誰かが入ってきたらどうするつもりなんだよ!

さりげなさを装って、ドアの前に立った。

万一誰かが急にドアを開けても、二人の様子が見えないように。

マネージャーとして、二人の友人として気を使ってるのに、いつまでこんなところでイチャついてるんだよ!

帰ってからにしろよ!

「社さん、止めてください!」

キョーコちゃんに泣きつかれて、またため息が出た。

指切り代わりにキョーコちゃんに何かを贈りたいと言う蓮と、それを断ろうとするキョーコちゃん。

でもねぇキョーコちゃん、今日の蓮は、絶対何かを贈らないと引かないと思うよ?

さっきの電話の相手が不破君じゃあ、他の男以上に蓮が過敏になってしまう。

キョーコちゃんにすんなり受け取ってもらえたら、少しは蓮も落ち着くだろうし。

「ねぇ、キョーコちゃん。ここは思い切って甘えたら?プレゼントしたら蓮も気が済むだろうし」

俺の言葉に、蓮が目を輝かせた。

「とんでもないですよ!敦賀さんが選んでくれるものは、私には分不相応です!私のお給料で買えるはずのないものなんて持ち歩いてたら、変に勘繰られますよ」

確かにキョーコちゃんの言う事も分かる。

蓮の喜びようからして、絶対高価なアクセサリーとか考えてるよな。

キョーコちゃんが負担に感じないようなものってないものか……

こんな状況を作ったものが、視界の隅に見えた。

「だからさぁ、時計とか、アクセサリーとか蓮に選ばせると高価なものを買ってくるじゃない?でも、携帯だったらどう?」

深く考えずに口に出したけど、我ながらいい考えだと思った。

今時の高校生なら、新機種が出たら飛びついていても不自然じゃないだろうし。

蓮、お前はもっと高価なものを贈りたいだろうけど、キョーコちゃんが負担に感じるようなものなんて、意味ないだろ?

携帯だからってケチ付けたりはしないよな?

俺が考えている事が通じたのか、蓮は嬉しそうに笑っていた。

「えっ?携帯?」

キョーコちゃんが意外そうに呟いた。

「そう。キョーコちゃんのって、事務所の支給品でちょっと前のやつでしょ?最新モデルの携帯ぐらいなら、キョーコちゃんが持ち歩いてても変に勘繰られたりしないと思うよ?」

「携帯2つもだなんて、勿体無いです」

堅実なキョーコちゃんらしい意見に、思わず微笑んだ。

「だからさぁ、蓮からもらった携帯は、蓮専用」

非通知だから、事務所か蓮からだって思って電話に出てしまうのなら、その原因を無くしてしまえばいい。

「えっ?」

たった一人の為の携帯なんて考えた事もなかったんだろう。

キョーコちゃんがダメだと言いだす前に、たたみかけた。

「他の人のアドレスは一切入れないっていうのはどう?思い切って、蓮とお揃いにすればいいよ。お揃いの携帯なんてたくさんあるんだから、誰も変に思わないよ。妙に高すぎる物は選ばせないと約束する。変にオリジナルの装飾もつけさせないよう、見張っておく。どう?」

黙ってないで、お前も何とか言えよ!

「約束する。キョーコを困らせないって」

「それなら……お言葉に甘えます」

キョーコちゃんはホッとしたように笑った。





蓮とキョーコちゃんが選びやすいようにと、仕事の合間に携帯のカタログを取り揃えた。

たくさんカタログを取り揃えたけど、気に入った色があまりなかったみたいだ。

キョーコちゃんがどっちにしようか悩んでいた2つの携帯の内、蓮が気に入った方に決めたようだ。

何でも、受信の時にハートが出るらしい。

そんな風に嬉しそうに語る蓮に当てられてしまった。

二人が選んだ携帯を注文するついでに、事務所に寄って、椹さんにキョーコちゃんが事務所から支給されている携帯の事で話しをしてみた。

「椹さん、キョーコちゃんが事務所から支給されてる携帯なんですが……」

「何だ?また携帯が壊れたのか?ちょっと待てよ。最上さんの番号は……」

椹さんは、呆れたように笑って、ポチポチと携帯を操作し出した。

確かに俺はクラッシャー体質ですけど……

直ぐに壊れた方に考えなくても……

「いえ、違うんです。実はキョーコちゃん、いたずら電話に悩まされてるようなんです」

軽く落ち込んだけど、態度に出さないように気をつけて、話しを続けた。

「ホントか?」

寝耳に水と言った感じで、椹さんが顔を上げた。

「こないだ、いたずら電話がかかって来た時に、たまたま居合わせて、俺もそこで初めて聞いたんですよ」

「で、どうなった?」

キョーコちゃんのことを娘の様に可愛がっているから、椹さんも心配そうだ。

「蓮がキョーコちゃんの携帯に出て対応したんですよ」

「大丈夫だったのか?」

キョーコちゃんがかかわった時の蓮の変わりようを、椹さんも知っているから、さっきとは別の意味で心配している。

あの時の事を思い出して、笑ってごまかした。

「あはははは……」

椹さんは胡乱な目つきで見詰めていた。

「それより、差し出がましいのは承知してますけど、キョーコちゃんも芸能人ですから、用心するに越したことはいでしょうし、この際番号替えられませんか?」

「今の番号で仕事の連絡のやり取りもあるだろうから……」

しばらく考える素振りを見せて、椹さんが口を開いた。

「わかった。もう1つ携帯用意するよ」

これで、事務所からだと嘘をついてでももう1つ携帯を用意するつもりだった蓮を安心させられると、ホッとした。





「キョーコちゃんの携帯も充電の持ちが悪くなってるかもしれないから、新しいものに替えるって。蓮のもあるから、ついでに貰ってくるよ。ちょっと携帯貸してくれる?」

そんな風に恐縮するキョーコちゃんからちゃっかり携帯を受け取って、椹さんのところに顔を出した。

「しかし、最上さんも水くさいよなぁ。もっと早くうちあけてくれたらよかったのに」

ぼやく椹さんに苦笑してしまった。

そんな椹さんの隣で、キョーコちゃんの友達に、番号とアドレスの変更を連絡していた。

「たまたま俺達がいるところでかかってきたから、わかっただけですよ。俺たちにも相談せずに、一人でいたずら電話の対処していたんですよ」

「蓮も落ち着かなかっただろ?」

返す言葉に困ってしまった。

「最上さんには、仕事の電話は事務所を通すように言っておくよ。どこかで番号教えて、また同じ事が起こってもいけないからな。最上さんが使っていた電話は、俺が預かっておこう。友達以外の番号には出ないように注意もしておくよ。最上さんに持たせる携帯には、友達以外の番号を登録しないようにしておこう」

「はい、お願いします。キョーコちゃん、事務所に支給された電話だからと、あまり人に番号を教えてなかったおかげで、スムーズに連絡も終えましたし」

さして時間をかけずに、蓮の携帯にも、俺の携帯にも、キョーコちゃんの新しい番号とアドレスを、登録し終えた。

「いたずら電話がかかってきたら『娘に何のご用ですか』とでも言ってやるかなぁ」

椹さんは楽しそうに笑っていた。

「いいですねぇ。相手もびっくりしますよ」

ふと頭をよぎったのは、蓮に教えたサイトに書いてあったこと。

『―――――してはいけない事をすればその場で叱りましょう。―――――ただダメだと怒るばかりでは犬も飼い主を嫌いになるばかりです。―――――基本は愛情を持って接し、―――――間ににちゃんとした信頼関係がありますか?―――――言葉に耳を傾けてくれるはずです。―――――』

それにしても、最近の蓮を見てると、やたらと犬のしつけ方を思い出してしまうなぁ。

そんなわけないよな……

頭を振って、自分の考えを否定した。

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