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続 はじめの一歩 番外編その2


方言は適当です。





確実に京子ちゃんと会えるきまぐれの収録を、一日千秋の思いで待ちわびていたというのに、今日も食事に誘う事すら出来ずに、挨拶を済ませて帰って行く思い人の背中を見送っていた。

はぁ~いつになったら二人で食事に行ったり出来るのか。

ガードが固いというのか、俺の誘い方が悪いというのか、京子ちゃんからは一向にいい返事がもらえなかった。

以前は収録の空き時間に、色々なおしゃべりをしたり出来たのに、京子ちゃんも忙しくなったせいか、空き時間に話しをすることも無くなっていた。

必要最低限の打ち合わせを終えると、台本を覚えたいとか、宿題を済ませたいとか言われて、無理強いなんて出来るはずもなく、やるせなくてため息をつくしかなかった。

ぼ~っと立っていると、後ろから殴られてしまった。

「元気だしなよ、リーダー」

俺の片想いは慎一と雄生にはしっかりバレていて、収録が終わる度に、京子ちゃんを誘えなかったと落ち込む俺を、励ましてくれていた。

「これ見たら、リーダーも元気になれるで」

慎一が、意味あり気に笑っていた。

「じゃ~ん。これなんやと思う?」

雄生が得意気に、目の前にメモ用紙を翳していた。

携帯電話の番号の様な数字の羅列が目に入った。

今度はどんな女の子の番号をゲットして来たんだろう……

「ナンパした子のケー番か?」

雄生の自慢話を聞く心境じゃなかったので、そっけなく告げて、楽屋に戻ろうとした。

「元気のないリーダーの為に、キョーコちゃんの番号をゲットしてきたんや」

思わず足を止めて振り返った。

「なんて顔してるんや。リーターの為思うて頑張った雄生を、褒めてくれたかて、ええやないか」

俺の反応を気にせず、雄生はニコニコと笑っていたが、慎一は、俺の反応が気に入らないらしかった。

いや……だって……俺には教えてもらえなかったのに……

信じられない気持の方が大きくて、雄生を労う事を忘れていた。

「でかした!ようやった!」

お疲れ様といった感じに、慎一は雄生の肩を揉んだり、叩いたりして、俺の代わりに褒めていた。

「これ、リーダーにやるわ」

雄生が差し出したメモを、信じられない思いで見詰めていた。

ホントに……キョーコちゃんの携帯番号が……?

「お前、いい奴だなぁ」

感激で、じんわりと涙が浮かんできた。

メモを受け取ろうと、そっと差し出した手は、お目当てものを貰えず、空を切った。

邪魔をした慎一は、いたずらを思いついたように笑っている。

「どうしてそれを渡してくれないんだ?」

「ねぇ、リーダー。お腹すかへん?明日もスケジュール詰ってるし、がっつり焼き肉でも食べたい気分なんやけど」

慎一の言葉に、項垂れてしまった。

「わかった、おごってやる」

力なく返事をすると、喜び勇んだ二人に、焼き肉屋さんに引っ張って行かれた。

なんだかんだとはぐらかされ、お店の支払いを終えてから、やっとキョーコちゃんの携帯番号が書かれたメモを貰う事が出来た。





メモを貰った時は、電話をするのが躊躇われるような時間だったので、次の日、仕事の合間をみて電話してみた。

携帯を持つ手が震えて、緊張で喉がカラカラになった。

何て言おう……

いきなり、「今夜空いてる?」とかってダメかな?

夜がダメなら、どこかでランチでもいいんだけど……

ランチなら、時間が取れるのはいつだったっけ?

頭の中であわただしくスケジュールを思い出していた。

電話が通じるまで僅かな時間だったのに、何時間にも感じてしまった。

「もしもし?」

電話の向こうから聞こえてきた声にびっくりした。

なんで男の人が?

しかもちょっと、年配の人っぽい声の様な気がするんだけど……

黙っていても、キョーコちゃんに代わってもらえるわけじゃないから、勇気を絞り出して言った。

「えっと、あの、京子さんは?」

「家の娘に何の用で?」

あれ?

キョーコちゃんにお父さん?

確か下宿してるとかって聞いたような気がするんだけど……

もしかして、俺、番号掛け間違えた?

「あ、すみません、間違えました」

誰も見ていないのに、思わずお辞儀をして電話を切った。

おかしいなぁ~

何度メモと見直しても、番号は間違っていなかった。

もしかして、このメモの方が間違ってるんじゃないのか?

丁度楽屋に戻って来た雄生に、突進する勢いで掴みかかった。

「お前~このメモの番号は、誰のなんだよ」

雄生はキョトンとしていた。

「誰のって、京子ちゃんの番号のはずやけど?」

その様子から、慎一と示し合わせて俺を騙したわけじゃなさそうだ。

「今電話したら、年配の男の人の声で『家の娘に何の用で?』って言われたぞ?」

「あれ?おかしいなぁ。椹さんに直接聞いても教えてくへんから、タレント部にいる事務のお姉さんに、俺の代わりに聞いてもろたんやで?」

雄生は、不思議そうに首を傾げていた。

「だってほら、これ、俺の字やないし」

言われてみれば、雄生や慎一の字とは違って、女性らしい雰囲気の字だった。

雄生も慎一も気になるらしく、直接椹さんに聞こうと言い張った。

キョーコちゃんの番号を聞いたら、俺の片想いが椹さんにもバレるじゃないか!

渋々ながら、引っ張られるままに事務所までやって来た。

「椹さん、キョーコちゃんの携帯にかけたら、知らない男の人が出たんやけど……」

中々口を開かない俺に焦れて、慎一が口火を切った。

「あ?あれお前だったのか?」

椹さんは笑って言った。

「えっ?あれ、椹さんだったんですか?」

びっくりして、つい横から口を挟んでしまった。

「最上さんなぁ、いた電に悩んでたらしいんだよ。だから用心のために、本人に内緒で番号替えさせてもらったんだ。最上さんの携帯に入っていた番号で、個人的なものには全部変更の連絡いってるはずだぞ?」

いつもあんなに明るく笑ってたのに、そんなことがあったなんて……

好きな子の些細な変化に気付かない俺って、ダメなやつだよな……

「あ、俺、京子ちゃんに携帯の番号教えて貰ってなかったから……」

何度聞いても、事務所から支給されているものだから私的に使えないと、京子ちゃんは携帯の番号も、メールアドレスも俺には教えてくれなかった。

「じゃあ、悪いけど教えられないな。どこから新しい番号が、いた電の犯人にもれるかわからないからな。最上さんの仕事に関係する連絡なら、俺を通してくれ」

結局京子ちゃんに電話をすることも出来ないのか……

項垂れる俺を慰めるように、雄生と慎一が俺の肩を叩いた。

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