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続 はじめの一歩 番外編 その4

楽しく妄想したんですけど、似たような展開の話を去年も書いてて、どうしようか悩んでしまいました。

せっかく書いたので更新したんですが、ワンパターンでも許してやるぜって心の広い方のみどうぞ。

キョーコ

敦賀さんとお付き合いというものを始めたんだもの。

彼氏だとか、彼女だとか、恋人だとか、いわゆるそういう関係なわけで……

なのに、未だに慣れなくて、自分に向けて言われるだけで、恥ずかしくてたまらない。

いつまでも机に突っ伏してたら、せっかく相談にのってくれてたモー子さんも気分が悪いわよね。

冷たい机で、少し頬の火照りも取れた。

まだ恥ずかしさは残っているから、恐る恐る顔を上げたら、モー子さんの姿は既に消えていた。

あれ?モー子さん?

あ……荷物も無くなってる……

黙って帰っちゃうなんて……

怒っちゃったのかな?

ど、どうしよう……

動揺してる耳に、微かに聞き覚えのない音楽が聞こえて来て、音が聞こえてくるものを探した。

音の正体は、新しく事務所から支給された携帯だった。

滅多に鳴らないせいもあるけど、まだ呼び出し音に慣れないわ……

携帯にはモー子さんからメールが入っていた。

『ちゃんと仕事だって言ったんだけど、どうせ聞こえてなかったんでしょ。変な勘違いしないように。私に返信する時間があるなら、ちゃんと敦賀さんに電話なりメールなりしてあげること』

そっけない文章だったけど、モー子さんの気遣いを感じて、嬉しかった。

これでモー子さんに返信して、敦賀さんに電話もメールもしてなかったら、怒られちゃいそうよね。

でも、さっきモー子さんが言ってたこと、ホントかな?

疑うわけじゃないんだけど……

敦賀さんが、そんなに私と話したいと思ってくれてるなんて考えたことなかったし……

とにかく、電話してみようかな。

ポチっとボタンを押して、携帯を耳に当てた。

呼び出し音が聞こえて、ちょっと緊張してしまった。

用事もないのにかけたこと、ないんだもの。

何て言おう……

留守電だったら、「お仕事頑張ってください」って入れればいいわよね。

あ、もしも今運転中だったらどうしよう……

やっぱり電話よりメールの方がよかったかな?

そんなに待ったわけでもないのに、頭の中はグルグルと色んな事が回っていた。

「もしもし?キョーコ?」

えっ?

あっ、どうしよう……

敦賀さんが電話に出られると思ってなかったし……

何て言えば……

「キョーコ?どうしたの?何かあったの?」

電話の向こうで慌てた声が聞こえてきた。

あ、やだ……変な心配させちゃう……

「えっと……あの……」

「何かあったの?大丈夫?」

心配させているのが心苦しかった。

「何でもないんです。ごめんなさい。ただ……どうされてるかなって思って……ちょっと電話してみただけで……」

忙しい敦賀さんに、こんな理由で電話をするだなんて、やっぱり迷惑よね。

早々に電話を切らないと。

「だから、あの……」

「何も言わないから、何かあったんじゃないかと心配したよ?」

心配されたことが嬉しかった。

「あっ、ご、ごめんなさい。ホントに、特に用事があったわけじゃないのに……」

「掛けてくれて、嬉しいよ」

優しい声に、頬が火照ってきた。

やっぱり、モー子さんが言ってた事はホントだったんだ……

私なんかの電話を喜んでくれるなんて……

それなのに、用事がないと私からは掛けなくて、いつも敦賀さんから掛ってくるのを待ってただけなんて……

「キョーコ?どうしたの?」

あ、いけない。

また余計な心配かけちゃう。

「も、申し訳ありませんでした!」

つい、先輩後輩の時の様な言葉が口をついてしまった。

「キョーコ?」

訝しそうな敦賀さんの声が聞こえた。

今まで掛ってくるのを待ってただけだった態度と、余計な心配をかけてばかりなのを謝りたかった。

「私……あの……何も考えてなくて……」

「何の事?」

あれ?ちょっと敦賀さんの声、低くなった?

まるで大魔王の時の様な……

「だから……その……」

ちゃんと説明しないとって思うのに、電話の向こうの敦賀さんを想像するだけで怖くなって、上手く話しが出来なかった。

「電話じゃ埒が明かない!今どこ?」

ひぃ~怒ってる~

こんなことなら、もっと早くからいっぱい電話掛けておけばよかった……

「ラ、ラブミー部の……部室で……」

「すぐ行くから、動かないで!」

そして電話が切れた。

すぐ行くって……

敦賀さん、お仕事中だったんじゃないの?

いや~~~~~~~

私のせいで、無遅刻無欠席の敦賀さんの輝かしい栄光に泥を塗ってしまうなんて……

私って、何て迷惑なの!?

やっぱり電話するんじゃなかった……

電話じゃなくてメールだったらこんなことには……

せめて敦賀さんがお家に帰られた頃に電話したんだったら……

ど、どうしよう……

大きな音を立てて開いたドアに、飛び上がってしまった。

大魔王と化した敦賀さんが、ドアの向こうに立っていた。

いや~~~~~~

どうしよう……すごく怒ってる……

「も、申し訳」

急いでイスから降りて謝ろうとしたら、敦賀さんに両方の二の腕を掴まれて、壁に押し付けられた。

痛いけど、それを口に出すのも怖い。

私のせいで、お仕事中断させちゃったんだから、ちゃんと謝らないと……

「ご、ごめ」

「さっきから、何を言ってるの?」

それを聞きたいのは私の方ですよ!

確かにいつも電話を掛って来るのを待ってるだけでした。

確かにいつもいらない心配ばかり掛けてます。

確かにお仕事の邪魔しちゃいましたし、敦賀さんの栄光に泥を塗ってしまいました。

でも……でも……怖いよ~

「敦賀さん、怒ってらっしゃいますよね?」

こぼれ落ちそうな涙を、必死で我慢していた。

「私が電話を掛けたせいで、お仕事中断させちゃったんですよね?」

敦賀さんの顔から目をそらさずに告げたら、いつの間にか敦賀さんから怒りの波動が消えていた。

「えっ?じゃあ、最初に謝ったのはどうして?」

呆然と敦賀さんが呟いた。

大魔王が去ってくれた今の間にちゃんとお詫びしないと!

「だって私……お邪魔になったらいけないと思って……用がないからってずっと敦賀さんに電話しなかったけど……敦賀さんは、私からの電話を喜んで下さって……今までもたくさん電話すればよかったって……申し訳なく思って……いつも、敦賀さんから掛って来るのを待ってるだけだったから……」

「いつも、俺からの電話を待ってくれてたの?」

敦賀さんの言葉に、素直に頷いた。

「だって、敦賀さんはとってもお忙しいから、ちょっとでも身体を休められるなら、きちんと休憩とって欲しかったですし……運転中だったらいけないって思ったりもしたし……私から電話したのは稀だったかもですけど、私だって、敦賀さんの声が聞きたかったんですよ?」

私を掴んでいた腕から力が抜けて、敦賀さんは脱力したように床に座り込んだ。

「だ、大丈夫ですか?どこか具合でも」

慌てて敦賀さんの傍にしゃがみこんだ。

「大丈夫。ホッとしただけだから」

敦賀さんは柔らかく微笑んで、そっと私を膝の上に抱き上げた。

「情けないね、俺。キョーコがいきなり謝り始めるから、『やっぱり携帯を受け取れない』とか、もしかして『もう付き合えない』とか言われるのかと不安になって、飛んできたから……」

とんでもない言葉が敦賀さんの口から飛び出してきて、びっくりしてしまった。

どうしてそういう風に思うの?

「えっと……『もう付き合えない』とかって、私が敦賀さんに言われる事はあっても、私が敦賀さんに言うなんて事、有り得ないですよ?」

敦賀さんと目があった。

「敦賀さんは、凍っていた私の心を溶かしてくれて……私の憧れで……えっと……あの……こうやって抱きしめられるのも、恥ずかしいんですけど、ホントは気持ちよくて好きなんです」

はしたないこと言って、逃げ出したかったけど、私を抱きしめる腕にちょっと力が入ったから、私もそっと敦賀さんの背中に手を回した。

「嬉しいよ」

胸の中が温かくなって、幸せだった。

私がどれぐらい敦賀さんの事が好きで、こうやって過ごす時間がどれぐらい好きって、敦賀さんに見て貰う事ができたらいいのに……

好きってだけじゃない気持ちを言葉にしようと思っても、上手く表現出来なくて、敦賀さんの頬に吸い寄せられるように唇を寄せた。

え?今……いや~何て事してしまったの!?

自分がしたことに気付いて、顔から火が出る思いだった。

驚いた敦賀さんにじっと見詰められて、熱くて堪らない顔を見られたくなくて、俯いた。

な、何か言わないと……

「お、お礼です!敦賀さんは、私にいっぱい気持ちをくれるから……」

「お礼のお礼してもいい?」

お、お礼って……

あ、あれをされると、私はまた敦賀さんで頭がいっぱいになって……

「ダメ?」

その声があまりに寂しそうだったので、首を横に振ってしまった。

「いいの?」

嬉しそうに聞かれて、余計に恥ずかしさが増してしまった。

何度も聞かないで欲しい……

頷くのが、精いっぱいだった。

敦賀さんの顔が近付いてきたから、自然と目をつむったら、唇に柔らかいものが触れた。

びっくりして目を開けたら、敦賀さんは幸せそうに微笑んでいた。

今……唇に……もしかしなくても、ファーストキス……?

言葉も出なくて、ぼ~っとしていたら、敦賀さんの嬉しそうな声が聞こえた。

「いつでもキョーコのお礼は歓迎するからね」

……敦賀さんの……破廉恥~!

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キョーコの可愛さにキュンとなりました。そして蓮の余裕のなさに笑ってしまいました(^_^)心があたたかくなるすてきなお話ありがとうございます♪

Re: タイトルなし

うれしいお言葉ありがとうございましたm(__)m
蓮は余裕なんてないと思います。
そして余裕がない方が楽しいかなって思います♪
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