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ACT.171 続き妄想


一目で彼女だと気がついた。

「どう?敦賀君。俺のお姫様、すごく綺麗でしょ?俺のお姫様以上に綺麗な人って、この中でも、なかなかいないと思わない?」

逸美ちゃんの方が男のツボだと言っていた貴島君が、彼女のことを、『俺のお姫様』だと?

誉められて恥ずかしそうに頬を染め、困ったように眉を下げる彼女は、凶悪なまでに可愛らしい。

光に引き寄せられるように、美しく変身した彼女の周囲に人が集まってくる。

口々に彼女を褒めそやして、照れた彼女が頬に手を当てて俯いてしまった。

そんな初々しい態度も、尚更可愛らしい。

「丁度来た時に会ってね。ほら、俺、この前2倍増し美人の京子ちゃんを見損ねたでしょ?どうしても見たくて、さっきお願いしたら、快く変身してくれたよ。化粧や服で、あんなに変わるなんて、思ってもみなかったよ。超、俺の好み。京子ちゃんって、姿勢もいいし、立ち居振る舞いも、粗野な所がなくて、連れて歩いても、自慢出来るよね。これはもう口説き落とすしかないよね。ね~敦賀君、京子ちゃんを落とすのって、どうやったらいいと思う?」

貴島君が上機嫌で耳打ちしてきた。

貴島君が彼女を……?

こうなることを恐れていたから、あの時、彼女を貴島君の視界に入れさせなかったのに……

周囲の声がひどく遠く聞こえた。

目の前が真っ暗になって、足元から地面がなくなったような気さえする。

彼女はラブミー部員で、彼女が殻を破る日なんて、来るはずがないと思い込んでいた。

他の男のために着飾り、他の男の腕を取り、他の男と談笑する彼女の姿を目にする日が来るとは思ってなかった俺は、なんて間抜けなんだ。

『女の子は早いよぉ…大人になるの』

あの時、社さんも言っていたのに。

『そのうちどこかの馬の骨に横から攫って行かれるぞ』

俺が足ふみしてる間に、彼女の時は確実に流れているんだと……

彼女を他の男に攫われたくなければ、俺も立ち止まってはいられないんだと、思い知らされた。

「あの……私……失礼して緒方監督に挨拶してきますね」

彼女が貴島君から離れた隙に、彼女に近寄り、腕を掴んだ。

会場の外へ連れ出そうとしたのに、彼女に抵抗されて、会場の隅に追い詰めた。

彼女の顔の横に右手をついて、彼女の右耳に問いかける。

「貴島君に贈られた服を、どうして身にまとっているの?」

「えっ?こ、これは貸衣装です!貴島さんが、この前ロケ先で見損ねた、2倍増しの大人美人を見た言っておっしゃって、制服から着替えさせられたんです。メイク代と衣装代は、貴島さんが出して下さったんですけど……」

俺の怒りを感じているんだろう。

彼女は青ざめて怯えていた。

「そう……貴島君のために、変身したんだね」

今すぐ、貴島君が用意した服なんて、引き裂いてしまいたい……

「貴島さんのため……?そう……なるんでしょうか?」

「そして貴島君に、その服を脱がされるんだ」

「えっ!?ど、どうして」

「男が女性に服を贈るのは、そういう意味があるからね」

「あり得ません」

「こんなに綺麗に装って」

今すぐ、色づいた唇に触れてしまいたい……

「これは、コスメ・デ・マジックで」

「そんなに貴島君が好きなの?」

違うと、そんな感情はないと、言って欲しい。

「どうしてそうなるんですか!?大体さっき仰られたことだって、地味で色気のない私には、無関係ですよ。純粋な好奇心で」

「どうしてそう言い切れるの?」

貴島君の下心を気付いてもいない彼女に、ホッとした。

「だって、絶対あり得ないんですから。敦賀さんは、どうしてそんなに意地悪ばかり仰るんですか」

「意地悪?心外だな。忠告してるのに」

君があまりにも無防備だから、俺を安心させて欲しかっただけなのに。

「忠告?先輩に、御心配ばかりおかけして申し訳ありません」

先輩だって?

「違う!」

先輩だからじゃない!

「敦賀さんは、先輩ですよね?それとも私のように、世話の焼ける後輩は、後輩だとも思いたくないですか?」

君は、俺の特別なのに……

「違う!そういうわけじゃない!俺は……君が好きなんだ!」

思わず叫んで我に返った。

静まり返った会場で、注目を浴びているのを感じる。

彼女は放心して、ずるずるとその場にしゃがみこんだ。

ここであやふやにしたら、きっと彼女はなかったことにしてしまう。

口に出した以上、俺の気持ちをちゃんと彼女に理解してもらわないと、永遠にチャンスは来ないかもしれない……

「……い、いや……」

シンとなった会場では、彼女の小さな声もたやすく拾えた。

俺の気持ちは、そんなにも迷惑なのか……

「やめて……これ以上開かないで……」

開く?

何のことだ?

「最上さん?」

彼女は耳をふさぎ、いやいやと首を振った。

「俺の気持ちは……俺が最上さんを好きだっていうのは、迷惑なの?」

「や……あ……」

そっと彼女に手を伸ばしたら、拒絶するかのように身じろがれた。

「例え迷惑だって思われてても、俺が君を好きな気持ちは、消せないよ」

「ひどい……他に好きな人がいるくせに!私にそんな嘘をつかなくても」

目に涙を浮かべながら、彼女が俺を睨みつけた。

一体どうして、他に好きな人がいるだなんて思われてるんだ?

「ちょっと待って。誰に聞いたのかは知らないけど、俺が好きなのは、最上さんだけだよ」

彼女が、いやいやと首を振る。

「敦賀さんが、私にそう仰ったんじゃないですか!」

「いつ?いつ俺が、最上さん以外の人を好きだと言った!?」

「その『最上さん』は私とは別人です」

「俺が知ってる『最上キョーコ』さんは、10年前から、君だけだ!」

あ……しまった……

「10年……?」

彼女が、俺を凝視している。

黙っていても仕方がない。

「そう、今年の夏で、11年前になるね。初めて君に会ったのは」

「10年……夏?嘘……嘘!また私をからかって」

「そんなわけないだろ?河原の石を、ハンバーグみたいだと、目を輝かせて喜んでいたことも覚えてるし、倒れた俺を、介抱してくれたことも覚えてるよ」

「信じられない……」

どうして、そんなに否定するんだ!

「最上さんが信じられなくても、真実だよ!俺が君を好きなことも。俺と君が、子供のころに出会っていたことも」

「コ……ン?」

「そうだよ」

「ふぇ」

彼女は、小さな子供のように泣きだした。

床に座り込んだまま泣きじゃくる彼女の前にしゃがみこんで、そっとハンカチを差し出した。

「会いたかった……ずっと会いたかったの……」

彼女が、涙に濡れた目で、俺を見つめる。

「うん、知ってる。ずっと覚えててくれてありがとう。今まで黙っててごめん」

両手で彼女の頬を挟んで、零れ落ちる涙を拭った。

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一気にw

一気に最終回突入ですか!!思わずわらってしまった
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