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恋すちょう 

前編
ど、ど、どうしよう・・・・・。私、敦賀さんのことが好きみたい・・・・・。もう恋なんてしないって思ってたのに、いつの間にか私の中でこんなに敦賀さんの存在が大きくなってたなんて・・・・・。次に会うときどういう顔すればいいの?私ごときがただの後輩の分際で、恐れ多くも敦賀さんを好きだなんて気づかれるわけにいかないわ・・・・・。敦賀さんは優しいから、きっと困らせてしまう。それに、敦賀さんには好きな人がいるんだし・・・・・。敦賀さんの前では、ただの無邪気な後輩を演じきらないと。今の居心地のいい、後輩としての居場所を失うのは嫌。だから、やってみせる。大丈夫、私はやれる。
キョーコはコーンを握りしめ、自分に暗示をかけた。

「お~い、キョーコちゃ~ん」
階段の下から、社が手を振っていた。
社のいるところに、蓮在り。マネージャーと俳優という関係だから至極当然のことで、キョーコにしてみれば、それは複雑な心境だった。
失恋確定とはいえ、想いをよせる人に会えるかもしれないことは嬉しくて、そして、至るところで取りざたされた噂を、ここでも聞かれるかもしれない憂鬱が心の中で入り乱れていた。
「社さん、こんにちは」
それでもいつものように、礼儀正しくキョーコは挨拶を交わした。
「何してるの?こんなところで」
不思議そうに、社が聞いてきた。
身構えていたことと違うことを聞かれて、そしていつもと変わらない様子の社になぜかホッとすると、キョーコの目にじんわりと涙が浮かんできた。
「え、キョーコちゃん、どうしたの?なにが・・・・・」
微かに笑ったキョーコが次の瞬間泣き出して、社は慌てた。
まるで俺が泣かしてるみたいだけど、キョーコちゃんの気に障るようなこと俺何か言ったか?と社は思った。
「社さん、何泣かしてるんですか」
笑顔なのに、蓮の言葉に怒気が含まれているのをキョーコも社も敏感に感じ取っていた。
会えた喜びと、自分の気持ちを気取られる訳にいかない緊張感、そして蓮から感じる怒気に、キョーコは慌てた。
「いや、俺何もしてないし」
社は慌てて言い訳をした。
「こんにちは、敦賀さん。・・・・・社さんのせいじゃないんです。私が・・・・・」
突然現れて怒っている蓮をなだめようと思うのに、上手く言葉に出来なくてキョーコは言いよどんだ。
「え?どうしたの?」
蓮はキョーコの言葉を促した。
「涙が勝手に出てきて・・・すみません」
なんとか社のせいじゃないことを蓮に伝えようとしてるのに、上手く言えない自分にキョーコは焦れていた。
「疑って悪かったですよ、社さん、すみませんでした」
キョーコが泣いてる原因が社のせいではないことだけは理解できたので、蓮は素直に謝った。
「いや・・・・・仕方ないよ・・・・・」
好きな子の涙見ちゃったら冷静でいられないだろうしと、社は蓮の心境に理解を示していた。
泣いてるキョーコをこのまま階段に置いていたら、誰かが通りかかって邪推しないとも限らないので、ラブミー部の部室に3人で移動した。


「何があったのか話せない?」
ラブミー部の部室に入るなり、蓮が先ほどの話を再開させた。
「本当になんでもないことなんです」
どこに行っても同じことばかり聞かれるから、普段と変わらない社さんにホッとして思わず涙が出たなんて言えるわけがないと、キョーコは思った。
そこに荒々しく部室のドアが開いて、奏江が飛び込んできた。
「ちょっとキョーコ!あんた、あの噂本当なの?」
も~、なんでこんなとこに、この人たちがいるのよ~。
奏江は自分の間の悪さを呪いたくなった。
普段部室にいるはずのない人物を目にしてわずかに動揺したが、次の瞬間綺麗に動揺を押し隠して挨拶をする奏江は、さすが女優と言わざるを得ない。
「すみません、敦賀さん、社さん。お話し中とは思わず、失礼しました」
奏江の逃げ出そうとした空気を敏感に感じ取り、キョーコが泣いてた原因と、奏江が口にした噂が関連ありそうだと見当をつけ、蓮は部室を出て行かれないよう引き止めた。
「琴南さん?遠慮しないで最上さんと話したら?何か面白そうな噂が聞けそうだね」
「敦賀さんのお耳に入れるようなことではありませんので。つまらない噂ですよ。お話の邪魔してもいけないので、失礼しますね」
すぐさま出て行こうとする奏江に、キョーコは、置いていかないで~!と心の中で叫んでいた。
敦賀さん、顔は笑ってるけど妙な威圧感があるわ。さっさとこの場を離れた方が身のためねと、奏江は思わずにいられなかった。
くるりと反転して部室を出て行こうと開けたドアから、マリアが飛び込んで来た。
「お姉様~あの噂は本当なんですの?」
マリアまで知ってるのかと、奏江は驚いていた。
さっきから妙に噂がどうとか聞こえるけど、一体何があったんだ?と社は思った。
マリアまで知ってるという事実に、一体どこまで広がってるのよ~と、キョーコは慌てた。
「あ、蓮様~」
思いがけず大好きな蓮と会えたことに有頂天になったマリアは、いつものように両手を広げて蓮に抱きついた。
「最上さんの噂って何かな?琴南さんは話してくれないんだよ。マリアちゃんなら教えてくれるよね?」
マリアがとろけそうな笑顔を見せて、蓮は欲しい情報を聞き出そうとした。
キョーコは、言わないで~と心の中で叫んだ。
「お姉様に好きな方が出来たんですって」
その一言が起爆剤になるとは思わず、マリアは大好きな蓮に喜んでもらおうと嬉しそうに告げた。
社は、蓮の心境を思いやって青ざめた。
「へ~そんな人がいたんだ」
瞬時に光臨した大魔王に恐れおののき、社と奏江とマリアは部室から逃げだした。
「お、俺ちょっと用事思い出したから」
「私、松島主任に呼ばれてたんでした」
「塾に行かないと・・・・・」
社は、「蓮怖いって。そんなんじゃキョーコちゃん泣くぞ?」と呟いた。
奏江は恐怖でドキドキしてる胸を押さえて「あんなに怖い敦賀さん初めて見たわ」と呟いた。
マリアは「あんなに怖い蓮様を見たのは二度目ですわ」と愕然としていた。
それでも、部室に残してきたキョーコが心配になって、3人はドアの向こうで様子を窺っていた。
一人蓮と共に部室に取り残されたキョーコは、恐怖に顔を引きつらせていた。
「で、好きな人って誰?」
急に纏う雰囲気も声も変わってしまった蓮に恐れおののき、逃げられなかった自分を運が悪いとキョーコは涙が出てきた。
「そんな人いませんよ」
蓮の問いに即座に否定してみせた。
「最上さんは嘘が下手だから、隠しだてしたりしない方がいいんじゃない?」
どうでも吐かせてみせると、蓮はキョーコに詰め寄った。
蓮が近寄る分、キョーコはじりじりと後ずさった。
「私がどうしてラブミー部にいるか、ご存じですよね?」
どうしてあんな噂が出たのかと、噂を広めた相手をキョーコは呪いたくなっていた。
「火のない所に煙は立たないって言うよね?そうか、既婚者とか言えないような相手なんだね」
キョーコは今までにも大魔王と化した蓮を見たことはあったが、これ程にドス黒い空気を纏う蓮を見たことはなかった。
「どうしてそうなるんですか」
「誰?」
逃げ場を失ったキョーコは、壁と蓮に挟まれて、なおも足掻き続けた。
「敦賀さん、私なんかに構ってないで、好きな人と時間を過ごせばいいじゃないですか」
ドアの外で様子を窺っていた社は、キョーコが蓮に想い人がいることを知っている事実に驚いていた。
そして奏江は、自分がかつてキョーコに告げた「敦賀さん、あんたのこと好きなんじゃないの?」あの一言が正しかったことを確信した。
どうみても、今の敦賀さんは嫉妬で大魔王と化したように感じるものね、と奏江は思った。
そんな2人の横でマリアは、大好きな蓮に想い人がいる事実にショックを受けていた。
「蓮様にも好きな方がいらっしゃったのね」と目に涙を浮かべてポツリと呟いた。
「へぇ~どうして最上さんが俺に好きな人がいることを知ってるんだろうね?今はそんなことより最上さんのことだよ」
思わず口にしてしまった言葉に、キョーコは自分が更に蓮をいら立たせてしまったことに気づいた。
「言わないと、お仕置きするよ?」
蓮はキョーコの腕を掴んだ。

つづく
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