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ACT.173 続き妄想

出会った頃は意地悪で、私は敦賀さんに嫌われてるんだと思ってた。

嫌ってる人間にも、演技のアドバイスしてくれたり、何度も送ってくれたりするから、優しくて面倒見のいい人だと思ってた。

だから、自分で思ってる程、敦賀さんに嫌われてないじゃないかって気付いた時は、嬉しかった。

だって……優しい人に嫌われるのは、辛いから。

お礼だと頬にキスされた時、「誰にでもするわけじゃない」って言葉に、自分が特別なのかもと淡い期待をしてしまったのに、何があっても泣いたりしない、柔軟な精神を持った大人な女性には、それ以上のことをするのも吝かではないんだと気付いてから、何だかモヤモヤする。

最初は嫌いだった人が、いつの間にか、こんなに大きく自分の中に居て……

私の中には、敦賀さんが鎮座しているのに、敦賀さんの中では、私はそこらへんの砂利にも等しい存在なんだと……

ホテルの一室で二人きりでいても、こんなにドキドキしてしまうのは私だけなんだと思うと、面白くない。

敦賀さんにとったら、私なんて子供すぎて恋愛対象外だから、下心や真心の被害の被るところに居なくて清々しいのに……どうしてこんなにモヤモヤするのかしら。

意識してるのは私だけ……

敦賀さんには、露ほども意識されないなんて……

そうよ!砂利だったら、そこにあるってわかるはず!

もしかしたら存在すら意識されてない、空気なのかもしれない……

あっ、でも、空気がなければ生きていけないんだから……もっとこう……そうよ!二酸化炭素なのかもしれない……

夜遅く演技指導のお願いに行くなんて、敦賀さんの休息時間を削る迷惑行為をしてしまうし……

敦賀さんにとったら私なんて、温暖化を引き起こす二酸化炭素のように、有害な人間よね。

なんかこう……目の前にいるのに……有害だけど、いてもいなくてもかわらない?

こんな時、セツだったら、自分を空気のように扱う人に、どう対応するんだろう……

「そんなに難しい顔して、何があった?」

いつの間にか敦賀さんがお風呂から出て来ていて、慌てて最上キョーコからセツに意識を切り替える。

「何でもないわよ、兄さん」

にっこりと笑いかければ、それで終わると思ってた。

目に飛び込んで来た光景に、思わず目をそらしてしまう。

ど、どうして~~~~~!?

この前は、お風呂上がりにバスローブを着ていたのに……

敦賀さんは、バスタオル一枚を腰に巻き付け、首に掛けたフェイスタオルで、濡れた髪をゴシゴシ拭きながら、私を見つめている。

髪から滴る雫さえも、敦賀さんの色気が漂っていて、目眩がしそうになる。

「そんな風に目をそらして、何でもないわけないだろ?」

あなたにとって、私が二酸化炭素並みの存在だから悶々とするんです、なんて言えるわけがない。

「嘘をつくのは、この口か?」

頬をギュッとつねられた。

「いひゃい」

何でもなくないだろ?

私を見つめる目が、そう語っていた。

「いひゃいってば!」

突き飛ばせば、捨てられた仔犬のような目で見つめてくる。

俺に隠し事をするのか?

私を見つめる目が、そう語っている。

「もう!どうしてちゃんと髪を乾かして来ないのよ!裸でウロウロしないの!」

バスローブを敦賀さんに投げつけて、ドライヤーを取ってくる。

「兄さんが風邪ひいちゃったら、アタシが泣いちゃうわよ?兄さんはお仕事好きでしょ?兄さんが好きなお仕事に全力で打ち込んでる姿を見るのは、アタシの楽しみなの!兄さんが風邪ひいて苦しんでる姿なんか見たくないんだからね」

突き飛ばすようにベッドに座らせて、ドライヤーで髪を乾かした。

バスローブ渡したのに、どうして着てくれないのよ!

敦賀さんの生肌をじっくり観察するチャンスとはいえ……恥ずかしくて直視できない。

悔しい……

私はこんなに敦賀さんを意識してるのに、敦賀さんにとったら私は二酸化炭素にすぎないだなんて!!!

「アタシもお風呂入って来る」

ドライヤーと、着替え一式を手にして、浴室に向かった。

熱いシャワーで、気分を落ち着かせる。

大体不公平なのよ!

敦賀さんは、抱かれたい男のNO.1に選ばれるぐらい凄いのに、私なんて地味で色気もないんだから。

敦賀さんが私のことを二酸化炭素だって思ってても、当然なのかもしれない。

でも……でも!

せめて砂利ぐらいには意識してくれたっていいじゃない!!

セツに似合いそうだと思って買った、下着をじっと見つめた。

下着姿でひょいひょい兄の前を歩くのはセツっぽいと思う。

前は恥ずかしくて出来なかったけど……

砂利ぐらいに意識してもらうためにも、セツらしく振舞うべきじゃないの?

セツに成り切る、勇気をください。

雨宮さんには肉食女子系なエグいって言われた下着を身につけて、深呼吸してから浴室を出た。

ベッドでは、敦賀さんが繭になって眠っている。

お風呂上がりのスタイルはこの前と違ったけど、寝姿は変わらないんだと思うと、ホッとしたようなガッカリしたような……

気負った分、ムカムカしてきて、枕を掴んで敦賀さんに叩きつけた。

セツならこんなことしても違和感ないわよね!

「何だ?」

まるでミノムシのように、敦賀さんがひょこっと毛布から頭を出した。

「先に寝てるなんてズルイ!今夜は一緒に寝てくれるって言ってたじゃない!」

早く毛布にくるまって、こんな恥ずかしい格好を隠したいのに!

「もうちょっとよけてくれないと、アタシの寝るスペースがないじゃない!」

呆然としてる敦賀さんに、にやけそうになった。

わざと敦賀さんを跨いで敦賀さんの横に眠る。

恥ずかしくて火照る頬を見られないように、敦賀さんに背中を向けた。

「おやすみ、兄さん」

こんなことぐらいで、砂利だと認めてもらえるかはわからないけど、認めてもらうまで、やってやろうじゃないの!

私だって……女なんだから~!!

首の後ろの方で、もぞもぞ動く気配に、心臓が跳ね上がった。

何!?

硬直してたら、首の下から腕が出てきて、びっくりした。

これはもしや……腕枕!?

背中に敦賀さんの身体を感じて、ドキドキして眠るどころじゃなくなって、意地になったことを後悔した。

おわり

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