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君恋ふる46

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キョーコ

なんだか気まずい……

社長さんの家をお暇した時は、普段と変わった様子は感じられなかったんだけど……

車に乗ってから、敦賀さん固い顔してるし、私のこと、チラリとも見てくれないし……

今までだって、運転中に「大丈夫?」とか気遣ってくれてたのに……

運転してるからよそ見をしないだけなのかもしれないけど、赤信号で停まった時ぐらいよそ見しても大丈夫だと思うの。

家族になったんだから、ちょっとぐらい笑いかけて欲しいのに。

あんなことがあったから、こっちを見てもくれないの?

涙が出そうになる。

敦賀さんと二人きりじゃなかったことに気付いた時は、すごく恥ずかしかったんだけど、社長さんやマリアちゃんが、大喜びで祝福してくれて、嬉しかったんだもの。

敦賀さんと家族になれるってことだけで、とっても幸せで夢みたいなのに、社長さんが『俺はそんなの認めん』なんて言われるから……

その後マリアちゃんに見せてもらった、お姫様みたいなドレスがすごく綺麗で、王子様みたいな敦賀さんを見たいなって思ったら我慢できなくて、社長さんの言葉に頷いてしまった。

敦賀さんは渋っていたのに……

怒ってるんだわ。

あの時私がちゃんと断っていれば、こんな風に気まずくなることはなかったのかも……

いつの間にか車はマンションの駐車場に着いていて、車から降りた敦賀さんが、助手席のドアを開けて、私が車から降りるのを待っていた。

慌てて車を降りてお礼を言ったけど、敦賀さんはやっぱり黙ったままで、それに耐えられなくなって、口を開いた。

「敦賀さんが嫌ならしなくていいんですよ?」

お姫様みたいなドレスよりも、王子様みたいな敦賀さんよりも、敦賀さんの気持ちの方が大事だもの。

こんなことで嫌われたくない。

敦賀さんは、驚いたように私を見つめて、長く息を吐き出してから言った。

「嫌なんじゃないんだ」

本当に?

だったらどうして固い顔して、ずっと黙ってたんですか?

口に出してしまいたかったけど、言ってしまうと涙がこぼれそうで、口を結んだ。

「一日も早く、名実共にキョーコちゃんと家族になりたいんだ」

敦賀さんは、とっても不安そうだった。

どうしてそんなに不安そうな顔をするんですか?

「社長が言うような披露宴なんてすると、準備にかなり時間がかかってしまう。先に届け出だけでもしたいのに、それすら認めてもらえなくて」

あの時社長さんは、『物には順序というものがあるだろう』そう言って、明日にでも届け出たいと言う敦賀さんの言葉は、撥ねつけられた。

「あの……名実共って……えっと……書類を出したり、式や披露宴をしたりしないと、家族になれないんですか?私はもう、敦賀さんと家族になったと思っていたのに……」

図々しかったかしら。

敦賀さんは、目を丸くして私を見つめている。

「本当に、そう思ってくれてる?」

敦賀さんの言葉に、頷いた。

突然敦賀さんに抱きしめられて、驚いて悲鳴をあげそうになった。

「嬉しいよ」

敦賀さんが喜んでくれているのがわかって、私も嬉しくて、そっと敦賀さんの背中に手を回した。

しばらくうっとりと抱きしめられていたけど、ここがまだ駐車場だったことを思い出して、敦賀さんのシャツの裾を引っ張った。

一向に緩む気配のない拘束に困って、小さな声で告げる。

「敦賀さん。誰かに見られちゃう」

敦賀さんは笑って拘束を解いてくれた。

エレベーターを待つ間も、ずっとクスクス笑われて、そんなにおかしなこと言ったのかしらと不安になる。

あまりにも笑われるから、だんだん面白くなくなって、敦賀さんを睨みつけた。

エレベーターに乗り込んだ途端、またぎゅって抱きしめられる。

「ふぇ?」

変な声が出てしまった。

「俺の奥さん」

一気に顔が熱くなる。

嬉しいのか、恥ずかしいのか、自分でもよくわからない。

でも、抱きしめられるのは、安心出来て好き。

最上階につくまで、大人しく抱きしめられていた。

チンという音とともに、エレベーターが最上階につく。

敦賀さんの腕の中から解放されて、なんだか寂しい。

あのままだったら歩けないんだけど、もう少し、敦賀さんの腕の中にいたかったなぁ……

やだ、何て破廉恥なこと考えてるのよ。

うろたえている間に、ひざの裏を掬われて、敦賀さんにお姫様だっこをされた。

「つ、敦賀さん?」

敦賀さんは、慌てる私に構うことなく、歩きだす。

「重いですから下ろし」

「駄目」

最後まで言わせてもらえなかった。

「新居に入る時は、お嫁さんを抱き上げるものなんだよ」

そんなしきたりがあるの?

思わず抵抗も忘れてしまう。

「でも、重いですから」

下ろして欲しいのに、敦賀さんは全然聞いてくれない。

「敦賀さん」

困っている私とは対照的に、敦賀さんがほほ笑む。

「軽いよ」

そう言うと、敦賀さんはクルクル回り出した。

小さく悲鳴を挙げて、敦賀さんの首に抱きついてしまう。

「危ないですよ。敦賀さん。駄目ですって」

何度も回るから、目が回りそうになった。

「ゃ。やだぁ」

思わず零れ落ちた。

ゆっくりと敦賀さんの動きが止まる。

「危ないって言ってるのに」

ホッとして、敦賀さんの首から手を離す。

嬉しそうな敦賀さんの顔を見たら、カチンとなった。

「もしも倒れたらどうするんですか!私の下敷きになっちゃうじゃないですか!そんなことになったら、敦賀さんが怪我してしまうんですよ!」

段々感情が高ぶってきて、涙が浮かんでくる。

もしも倒れて、私が敦賀さんを下敷きにしてしまったら……

そんなこと考えて怖くなる。

もしも打ち所が悪かったらと思うと、涙が零れ落ちた。

「危ないことはしないでください。敦賀さんがいなくなったら……わ、私……」

言葉に詰まると、敦賀さんの腕に力が込められた。

敦賀さんは、零れ落ちる涙を、唇で拭ってくれる。

「ごめん。泣かせるつもりはなかったんだ。嬉しくてふざけ過ぎた」

わかってくれたならそれでいいんです。

言葉で返事をする代わりに、敦賀さんに身体を預けた。

敦賀さんは慎重に私を運んでくれた。

リビングのソファに腰を下ろして、敦賀さんは私を膝に抱き上げる。

万一のことを想像して、泣きだしちゃうなんて……

気持ちが落ち着いてくると、恥ずかしくて仕方がない。

「抱きしめられるのは好きです。ここが私の居場所だって思えるから」

「俺も抱きしめてると安心する」

私の呟きに、すかさず敦賀さんが返事をする。

「ずっとこうやっていようか」

少しおどけた感じで、敦賀さんが言った。

思わず敦賀さんの顔を、凝視してしまう。

抱きしめられるのは好きだけど、限度はあると思うんです。

「ずっとは困ります。食事の支度も出来ないじゃないですか」

「じゃあ出来るだけ」

幸せすぎて夢みたい。

つづく 

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