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君恋ふる47

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清々しい朝に相応しくないのはわかっていても、ため息が出て仕方がない。

顔には出さないが、今までずっと蓮を見て来た俺にはわかる。

あいつが凹んでいるって。

ここ最近、蓮もキョーコちゃんも様子がおかしいとは思ってたんだ。

そしたら、一昨日はキョーコちゃんが急に姿を消してしまうし。

琴南さんが一緒だっていうから安心してたけど、キョーコちゃんは夜になっても戻って来なかったみたいだし。

昨日は一日キョーコちゃんはいなかったし。

黙って仕事を休むなんて、真面目なキョーコちゃんらしくない。

大体、いくら仲の良い友達に会うんだとしても、荷物を全て置き去りでっていうのはおかしいぞ!

蓮とキョーコちゃんの気持ちが通じ合って、いわゆる恋人同士になったんだと喜んでいたのに、蓮はどこかよそよそしい。

蓮が倒れる前の方が、付き合ってもいなかったのに、よっぽど恋人同士に見えたぐらいだ。

キョーコちゃんもどうしていいかわからない風で、日に日に笑顔が消えていった。

ホントにどうしちゃったんだよ。

昨夜琴南さんに電話してみたけど、通じなかったし。

まさか、着信拒否とか!?

キョーコちゃんの笑顔を奪った理由によっては、十分あり得る……

まさか蓮のやつ、嫌がるキョーコちゃんを無理矢理押し倒したんじゃ……

『嫌!止めてください!敦賀さん』

思わず想像してしまった時代劇のような一幕に、頭を振る。

蓮に限って、それはないと信じたい。

二人の間に何があったのか、今日こそ問い詰めてやる!

だからこそ、今日はちょっと早めに出て来たんだ。

原因がわからないと、対策も練られないからな。

気合いを入れてインターフォンを押す。

「おはようございます、社さん。早いですね」

出迎えてくれた蓮は、ちょっとびっくりしてるようだけど、爽やかな笑顔を浮かべている。

無理して笑ってるようには見えないな。

昨日までの凹みようはどこへ行ったんだ?

凝視する俺を、蓮は不思議そうに見つめていた。

うっすらと、目の下に隈が見られるけど、深刻さは感じられない。

狐につままれたような気がする。

「話があるんで、上がってもらえますか?」

まぁ元々俺も話をするつもりで早めに出て来たから、促されるままに上がりこんだ。

「おはようございます、社さん」

リビングに入ると、キッチンからひょっこりキョーコちゃんが顔を出した。

「キョーコちゃん!?」

「はい?」

驚く俺に、キョーコちゃんは不思議そうに首を傾げた。

その可愛らしい仕草にホッとする。

帰ってたんだ……

よ、よかった~

俺が動かなくなったせいか、蓮とキョーコちゃんは不思議そうに見つめ合っている。

喧嘩したとかじゃなかったんだな。

蓮が無理矢理キョーコちゃんを手籠めにしたんだったらとか考えてたから、ホントに安心した。

俺の悩みは何だったんだよ~

ホントに心配したんだからな!

「とりあえず、座って下さい」

促されてソファに座ると、キョーコちゃんがコーヒーを出してくれた。

「実は……キョーコちゃんと、結婚することにしました」

よくぞコーヒーを吹き出さずに我慢したよ。

おかげでコーヒーが気管に入って、むせてしまったけど。

慌てて俺の背中をさすってくれた蓮に、大丈夫だと合図を送る。

「悪い」

「いえ。俺の方こそ驚かせてしまって」

「そりゃあ驚くさ。そんなこと言われたら。でも何だって急に……」

もしかして、蓮の様子がおかしかったのは、プロポーズしようか悩んでいたせいだったのか?

「家族が欲しいんです」

頬を染めるキョーコちゃんの手を、蓮がそっと握る。

キョーコちゃんは嬉しそうに蓮に微笑んだ。

この間までの深刻さはどこへ行ったんだ?

二人の間の甘ったるい雰囲気に、口の中でじゃりっと音がしたような気がした。

でも、家族かぁ~

キョーコちゃんの記憶が無くなってからかなり経っているというのに、未だにお母さんとも会えてないみたいだし……

そう考えると不憫だよな。

あえてそんなこと口にして、キョーコちゃんを悲しませようとも思わないから、誰もが口をつぐんでいる。

もしかしたら、記憶が無くなる前も家族を欲しがっていたのかもしれない。

そんなそぶりは全く見られなかったけれど……

未成年なのに、色んな事を内に抱えてたんだよな。

なんか無性に腹が立ってくる。

つらつらそんなことを考えていたから、自分の視線の先なんて気にしていなかった。

繋がれていた手が離れていくのが見えて、不思議に思った。

俺と目があったキョーコちゃんが、真っ赤になってキッチンに逃げ込む。

言葉もなく蓮を見れば、キョーコちゃんの背中を寂しそうに見つめていた。

えーっと……俺のせいなのか?

「これから色々することがあるので、社さんにスケジュールの調整をお願いしたいと」

「それは勿論。俺で出来ることは協力するから」

呆然としているところに話を続けられて、思わず蓮の言葉を遮ってしまった。

「ありがとうございます。後、キョーコちゃんの付き人は、しばらくお休みで」

キョーコちゃんの記憶を取り戻すための付き人じゃあなかったのか?

「俺とのことが公表されると、マスコミに取り囲まれることになる。第一、公表されなくても、いくら気をつけてても、どこかで油断してバレるかもしれないからと。だからちゃんと公表して落ち着くまでは休ませろと」

激しい人見知りになってしまったキョーコちゃんが、心配なのはわかる。

俺にしても、キョーコちゃんを怖い目にあわせたいとは思わない。

「わかった。キョーコちゃんがいなくても、食事をおろそかにするんじゃないぞ?」

蓮は一瞬唖然として、「今はちゃんと食べてるじゃないか」とか、「一体いつのことを言ってるんだ」とか、面白くなさそうに呟いた。





「それじゃあ行って来るね」

そう言って玄関を出ようとした蓮が止まる。

どうしたんだろうと振り返ると、見送りに出て来たキョーコちゃんが蓮の上着の裾を掴んで俯いていた。

「……いって・・・・・・・らっ……しゃい……」

かろうじて絞り出したかのようなキョーコちゃんの声。

「キョーコちゃん?」

蓮がキョーコちゃんの顔を覗き込む。

「どうしたの?どこか痛いの?」

そんな蓮の問いかけに、キョーコちゃんは首を横に振った。

その拍子に、キョーコちゃんの頬を、涙が零れ落ちる。

「ごめん……な……さい……急に……寂しくなって……」

手の甲で涙を拭うキョーコちゃんを、蓮が抱きしめた。

俺の存在、忘れられてる?

もしかしなくても、今からは毎日この光景を見せられるとか?

先に行ってるぞと、合図を送ったけど、蓮に見えていたかはわからない。

その場にとどまるのはごめんだったので、そっと離れて一人で先にエレベーターに乗り込んだ。

つづく

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