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君恋ふる番外編 その3

本文中に入れようとしたんですけど、どうしても纏められなかったので、番外編にしました。

46と47の間のエピソードです。





「私はもう、敦賀さんと家族になったと思っていたのに」

彼女の言葉が、エコーがかかって聞こえた。

ホントにもう家族だと?

嬉しくて、場所も考えずに、思わず彼女を抱きしめた。

誰かに見られるとうろたえる彼女に、笑みがこぼれる。

可愛くて可愛くて、今すぐ食べてしまいたい。

こんなことを考えてても、『家族』なら許してくれるよね?

「破廉恥です」なんて怒ったりしないよね?

まだ、公表するわけにも、スクープされるわけにもいかないから、とりあえず自重する。

でも、エレベーターの中なら人目につかないから、いいよね?

もう『家族』なんだから。

「俺の奥さん」

口に出した途端、彼女の顔が真っ赤になった。

こんな可愛い顔を見せるのは、俺だけにしてね?

エレベーターから降りるときに抱き上げると、彼女がうろたえる。

軽いことを証明しようとして、泣かせてしまった。

俺の事、心配してくれるんだね。

腕の中で、彼女が大人しくしてくれる事が嬉しくて、彼女が俺を受け入れてくれてる実感が出来て、安心する。

俺の提案を、彼女が受け入れてくれた。

嬉しくて、幸せで、浮かれてしまう。

「敦賀さんに似た、男の子が欲しいです」

どこか夢見心地な彼女の呟きが聞こえた。

純情乙女な彼女のことだから、婚前交渉なんて望めないと思っていたのに……

俺が、食べてしまいたいと思っていたことに、気付いていたのか?

思わず腕の中の彼女を凝視してしまう。

ホントに食べてしまってもいい?

俺の視線にどこか居心地悪そうに、もじもじと恥じらう姿も、どこか誘っているようにさえ見える。

そんなはずはないと自分を戒めようとしても、彼女の赤く染まった頬に期待してしまう。

初夜を意識した自分の心臓の音が、うるさいぐらいに聞こえてきて、彼女の耳にも届いているかと思うと、尚更平静ではいられなかった。

「男の子は嫌ですか?」

不安気に見つめられて、思わず首を横に振った。

どちらかと言うと、彼女に似た女の子が欲しいけれど、男の子が先だって全然構いはしない。

彼女は家族を欲しがっているんだから、子供は何人いてもいいはずだ。

そのうち彼女に似た女の子だって授かるだろう。

ほわんとした柔らかい笑みを浮かべる彼女の周りは、まるで芳香剤のCMのように、花が舞ってるような気がする。

「こうのとりさん、いつ来てくれるんでしょうね」

寝室へ連れて行こうとしたときに放たれた無邪気な一言に、思わず固まってしまった。

全ての記憶がなくなってることはわかっていた。

日常生活に支障がなくなってるから、そういう方面のことはどこまで知っているのか気にしたこともなかった。

もともと純情な彼女だったけど、記憶が無くなる前からそういう風に信じていたとは思いたくない。

一体どこでそんなことを吹き込まれたんだ?

それより彼女になんて言えばいい?

ここで、雌しべと雄しべがなんて説明をして、彼女の夢を砕いたら、「敦賀さんなんて嫌いです!」なんて言われたりするんじゃないのか?

嫌いだなんて言われることだけは避けたい。

「今夜はずっとベランダでこうのとりさんを待っててもいいですか?」

俺の顔を見つめる無邪気な瞳に、かけるべき言葉を必死で探した。

「鳥は、夜は目が見えないから、夜に来ることはないんじゃないかな?」





すよすよと気持ち良さそうに眠る彼女の顔を見つめる。

彼女の頭を撫でながら、睡眠学習よろしく呟いた。

「赤ちゃんは、お母さんのお腹から生まれるんだよ」


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