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素直になろう 前編

企画拍手に掲載して頂いたものです。


「あれ?あの鶏」
グレイトフルパーティの会場で、俺の視界に入った白い着ぐるみ、どこかで見たことがあった。
「あれがどうかしましたか?社さん」
キョーコちゃんの親友の琴南さんが聞いてきた。
「いや、どこかで見たことがあるなと思って」
思い出せそうで思い出せないジレンマに陥りながら記憶を辿っていく。
「ブリッジロックのみなさんが出てる『きまぐれロック』って番組で見たんじゃないんですか?」
琴南さんって女優さん志望だと聞いていたけど、バラエティまでチェックしてるなんて勉強熱心だなぁ。
「あの鶏、『きまぐれ』に出てるの?」
TVで見たわけじゃないと思うんだけどな。
「そうです。『坊』って言うんですよ。」
「へ~よく知ってるね」
「えっ、えぇ、まぁ」
ん?今ちょっと動揺してなかったか?俺の気のせいか?
「でも、なんでその『坊』がここにいるんだろ?マリアちゃんが気に入ってるとかかな?」
素朴な疑問が口をついた。
「キョーコが招待したんじゃないでしょうか」
確かにキョーコちゃんはこのパーティの主催の一人だけど、そのキョーコちゃんと鶏が結びつかない。
「え?キョーコちゃんの知り合いなの?」
「キョーコと知り合いっていうか、それを言うなら・・・・・・私だって、知り合い・・・?」
琴南さんの声がだんだん小さくなっていったのはどうしてだろ?
「あ、じゃあラブミー部と関係あるんだ」
ラブミー部がらみの仕事で何かあったとかかな?
「えっ、まぁそうですね」
「なになに?俺には話せないこと?」
「話せないというか話されたくないだろうなと思って」
そんな風に言われると気になるじゃないか。
「誰が?」
「キョーコが」
なんでキョーコちゃんが?
あ!あの鶏、蓮と一緒のところを見かけたんだ!そういえば、一度楽屋にも訪ねて来た事あったなぁ~。
「ふぅ~ん。もしかして、あの着ぐる、着たことがあるとか?」
「な、なんで」
図星か!
「そんなに動揺するってことは肯定してるようなものだよ」
「・・・・・修行が足りませんでしたね」
琴南さんが肩を落としている。
「で、正解なの?」
「それより、どうしてあの鶏の着ぐるみ着たことがあるって思ったんですか?」
ついさっき思い出したしね。
「あの鶏と、蓮が一緒のとこ何度か見てるからね」
「え!あの子そんなことしてたんですか?だから口止めしてたのかな」
ん?今なんて言った?
「なんか聞き逃せないこと言ったね。じゃやっぱりキョーコちゃんあの鶏の着ぐるみ着たことあるんだ」
琴南さんはため息をつきながら話してくれた。
「もうばれちゃったから話しちゃいますけど、きまぐれで坊の着ぐるみ着てるのがキョーコです。キョーコにとったら着ぐるみもお世話になった人なんでしょうね~。こんなとこ呼んで、自分からばらしてるようなものだと思うけど」
それは同感だな。
「なんで内緒なんだろう?」
「知られたくないとか言ってましたね」
キョーコちゃんが坊だと知られてなければ、確かに蓮と鶏が一緒にいてもゴシップにはならないだろうけど。
「きまぐれロックって人気ある番組だよね?隠すメリットなさそうだけど」
公表してる方が知名度も上がると思うんだけど。
「あの子知られたくないようだから、社さんも黙ってて下さいね」
「うん、わかったよ」
「じゃあちょっと社さんにばれちゃったことキョーコに話してきますので失礼します」
琴南さんは会釈してキョーコちゃんの方へ歩いて行った。
それにしても台本読む時に人を近寄らせない蓮が鶏と一緒だったのは、キョーコちゃんだったからかぁ~。・・・・・ってことはあの頃からキョーコちゃんとの仲は接近してたって事か!?坊がキョーコちゃんだって知られてないから格好の隠れ蓑だよな~。いつの間にかプライベートでキョーコちゃんと電話しあう仲になってるし。ほんと蓮っておさえるとこはしっかりおさえてるよな~。協力してるんだから打ち明けて欲しかったかも。おにいさんは寂しいよ。
少し離れた所に立つ蓮を見つめて。心の中でつぶやいた。



TV局で仲良さそうに話をしてるブリッジロックのメンバーと、キョーコちゃんが視界に入った。
途端、隣の蓮からドス黒いオーラを感じる。
「れ、蓮?そんなに不機嫌にならなくても・・・」
恐る恐る声をかけると、笑顔がかえってくる。
「なんですか?社さん」
「お前、笑って見せてもしらじらしいんだよ。顔に思いっきりおもしろくないってかいてあるぞ」
ほんと、キョーコちゃんに対してはお前の感情はわかりやすいよ。
「えっ?」
お前は誤魔化してるつもりだろうけど、お前のキョーコちゃんへの気持ちだけはどんなにお得意の笑顔だろと隠しきれてないのに気づいてないんだな。
「お前な~キョーコちゃんがブリッジロックと仲良く話してるぐらいでそんなに不機嫌にならなくていいだろ?」
お前がそんな顔してると、またキョーコちゃんを怯えさせるだろ?お兄さんとしてもここはしっかり言い聞かせないとな。
「同じ番組に出てるんだから普通話ぐらいするだろ?」
だからそれぐらいで嫉妬するなと続けたかったのに、蓮の言葉に遮られた。
「えっ?社さん、今のはどういう意味ですか?」
「えっ?お前知らなかったのか?」
てっきりお前は知ってると思ってたのに。
「社さん?」
「笑顔で脅すなよ・・・蓮が知らなかったとは聞いてなかったから驚いただけじゃないか」
笑顔浮かべてても目が笑ってないんだって。
「社さん?」
じれったくなったのか、蓮の声が大きくなった。
「キョーコちゃんブリッジロックの番組の『きまぐれロック』に出てるんだってさ。だから仲良く話してても不自然じゃないだろ?」
「そんな話きいたことないですよ・・・」
蓮は呆然としている。
「お前ほんとに知らなかったんだな。俺はてっきりお前は知ってると思ったから、ちゃっかりおさえるとこおさえてるなと思ったのに」
「俺が何を知ってると思ったんです?」
蓮が不思議そうに聞いてくる。
「鶏」
ポツリとキーワードをこぼしてやった。
「えっ?」
俺の思い込みだったなんて・・・ため息が出た。
「ほんとはな、琴南さんに話すなって言われてたんだけど、教えてやるよ」
「えっ?」
隠してたってキョーコちゃんのためにもならないし、仕方ないよな。理不尽に蓮に嫉妬されるより、ちゃんと教えてやった方が蓮の嫉妬も少なくなるだろうし。琴南さんごめんねと胸の中で謝った。
「俺も何度かお前と一緒にいるとこ見たけど、あの鶏、あれ、キョーコちゃんなんだってさ」
「えっ!」
突然蓮がフラリと壁にもたれかかるからびっくりした。
「蓮、どうした?」
蓮の顔色がかわってる。
「社さん、それ本当なんですか?」
「え?鶏がキョーコちゃんだってこと?」
「そうです」
「ほんとだよ」
こんなことで嘘ついてどうなるって言うんだよ。
「参った・・・」
蓮はそのままずるずると座り込んでしまう。
おい、人に見られたらお前のイメージ崩れるぞ?ま~それだけびっくりしたってことなのか。
「おい、蓮、ほんとどうしたんだよ?大丈夫か?」
「大丈夫じゃないです。社さん、俺どうしたら・・・」
「何があった?」
こんなに蓮が動揺するなんて何があったんだ?
「あの鶏が最上さんだと思ってなかったから、俺かなり恥ずかしいこと話しましたよ」
「れ、蓮・・・一体どんな話を・・・」
恥ずかしいって・・・気になるじゃないか。
「今度どんな顔して会ったらいいんだ・・・」
蓮はこの世の終わりのような顔をしてる。
「そんなに悩まなくてもいいんじゃないのか?」
「他人事だと思って」
明るく言われたのが気に入らなかったのか吐き捨てるように蓮が言った。
「だってさ~おまえは知らなかったとは言え、キョーコちゃんはお前の恥ずかしい話聞いても知らないふりしてくれてるんだろ?だったらお前も何もなかったふりしたままでいいんじゃないのか?
「そうは言ってもですね・・・」
蓮は納得いかないようだ。
「俺がお前に言うのは1つだけだ!」
「なんですか?」
そうさ、これだけは言うぞ!
「さっさと告白しろ!」
告白してしまえ!
「社さん?」
「キョーコちゃんが他の男と仲良く話してたぐらいで嫉妬するなら、告白してこい」
そうしたら嫉妬でキョーコちゃんを怯えさせることも少なくなるだろ?キョーコちゃんだって蓮の気持ちを知ったらちょっとは嫉妬するような場面を見せることも少なくなるだろうし。
お前・・・なんでそんな辛そうな顔してるんだ?
「なんで告白しろって言われたぐらいでそんな顔するんだよ」
俺は死んでこいとは言ってないぞ?今にも泣きそうなこんな辛そうなお前は初めて見たよ。
「蓮?」
蓮は黙ってるだけで何も言わない。ただ、辛そうに床を見つめている。
「キョーコちゃんのこと好きなんだろ?お前今のまま告白もせずにどこかの馬の骨にキョーコちゃんをさらわれても後悔しないのか?それにキョーコちゃんだって恋人でもない奴から嫉妬されても困るだろ!」
告白しろって言われたぐらいでそんな辛そうになってるけど、どっかの馬の骨にキョーコちゃんさらわれたらもっと辛いんじゃないのか?
「そんな顔するなよ。お前は『敦賀蓮』なんだぞ。もっと自信持てよ」
励ますつもりで、ポンと肩を叩いた。
「自信なんてありませんよ」
蓮がポツリと呟いた。
「ま~相手はあのキョーコちゃんだしな」
言葉が出ない蓮をせかして次の仕事に移動した。



 * * *



社さんの言う事もわかる。彼女のことは好きだけど、ただ好きというだけで、俺以外の男と話してるのが気に入らないと嫉妬されても、わけもわからないし、彼女の迷惑にしかならないだろうな。なんて考えながら歩いてたら、目の前から想い人が歩いてきた。
「ちょっといいかな?」
思い立ったが吉日ではないけど、勢いでもないと言えそうにない。
「なんですか?敦賀さん」
彼女は不思議そうに首をかしげて見上げてくる。あんまりの可愛らしさに自然と笑みがこぼれてくる。
「君が好きなんだ」
じっと目をそらさず想いを告げた。
彼女は思案気に辺りを見回している。
場所柄も考えずつい勢いで告白してしまったけど、周りに人がいたのかな?それとも、こんな告白は夢に描いたものと違うとか思っているんだろうか。
「え~っと最上さん?」
俺ははっきりと言ったけど、告白がわからないとかじゃないよな?
「えっ?あ、や、やだな~敦賀さん、ドッキリですか?」
彼女の口から思いもよらない事を言われた。
「いや、違うんだけど」
本当に君が好きなんだよ。もう一度口にする勇気がなかったので、気持ちを込めて見つめていると、またしても予想外の言葉が聞こえた。
「からかってるんですか?」
どうしてそうなるんだ?俺は真剣に想いを告げたのに。
「もうしりません」
呆然としてる俺をその場に残して彼女は走り去って行った。
一体どう言えば彼女に本気だとわからせることが出来たって言うんだ!?

いつまでたっても戻ってこない俺を社さんが探しに来た。
「蓮、どうしたんだ?」
「社さん、しばらく一人にしてください」
もうしばらく浮上出来そうになかった。

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